以下の記事が目に留まりました。

“現役”新規事業推進リーダーが語る、大企業にありがちな「アイデアの落とし穴」10選
https://thefilament.jp/incubation/5249

10選ということなので、結構な量の内容が語られています。

筆者自身の実体験にもとづくお話だけに、リアル感に溢れた、気づきを与えてくれる内容です。

その中から、特に気づきにつながった個所をピックアップしてみました。

1:特定の顧客向けのただのSI
>営業担当者には、お客様との営業リレーションを活用するために新規事業担当者の紹介だけをしてもらい、アイデアが具体的になるまでは新規事業担当者を中心に検討を進めるなどして検討の主導権を持ち続ける必要があります。
あ~っ!!と思わされる内容ですねえ。新規事業君、新規事業さんは大変でも、自分でやるのだという意識を常に持ち続け、実際にそうすることが肝心だと言わなくてはならない理由の一つですね。

2:課題は深いが誰がお金を出すのか分からない
>私がこの事例でお伝えしたかったのは、困っている人がお金を出す人になるとは限らないということです。
記事では、わかりやすさを重視したのでしょうか。極端な事例が挙げられていますが、これはほぼすべての新規事業プロジェクトで注意しなくてはならないポイントです。往々にしてあるのですが、お金を払うのは、自分たちが最初に想定したユーザー、顧客ではないことが多いです。
また、お金を出す人がお金を出す気になるドライバー、すなわち、顧客の顧客、顧客のインフルエンサーといったところに目を向けることが重要です。

3:シニアという雑なひとくくり
>なぜその人はその課題を抱えるようになったのか?なぜその課題を抱えたままなのか?といったことを身近にいる人に一歩踏み込んで詳しく聞き込みをしてみると、その人にしか語れない事実が積み上がってきます。
ヒアリングをしていくことは大事なことなのですが、こういうことを意識して、ヒアリングを重ねないと、アイデアが具体化していかない、明後日の方向に向いて行くということが往々にしてありますというものです。

4:自社製品を売りたいだけ
>ネットですぐに調べられるような情報ではなく、その相手だけが知っている業界の情報や事例などがある場合は新しいアイデアの源泉になる可能性もあるので出来るだけ社外の方が持っている現場の生の声を聞くことをおすすめします。
4番は最後の方のくだりをピックアップしました。これはお読みいただけばわかることだと思いますのと、その通りと思うものなので、本文をお読みいただければと思います。

5:デジタル世界の残念な”ハコモノ”「プラットフォーム」
>最初はコアな価値を軸に垂直に立ち上げ、その価値に共感・賛同するパートナーと一緒に顧客を集め、勝ち筋が出来たらそれを水平展開する。
要は、自分のやりたいこと、実現したいことのコア(=私は「本質」という方がしっくりくるので、「本質」と表現しています)を常に忘れず、極め続けるということだと思います。

6:綺麗にまとまったアウトプット
>あくまで検討の主体は自分たちでありWILL無き議論の丸投げにならないように気をつけています。
この通りなのですが、検討の主体は自分たちであるという認識を欠いてないか?と思わされる残念な組織はおおく存在します。一方で、それもわからないでもありません。未踏の領域にいきなり挑むのは本当に大変なことですから。
それでも、やっぱり、主体は自分たち。新規事業君、新規事業さんたちは忘れないでくださいねとお伝えしたいことです。

7:技術ドリブンの罠
>アイデアを考える上で一番重要である「誰のどんな課題を解決するのか」という肝心な部分が抜けていたからです。
>先に器を作り、その形にはまるものだけを探していたのでなかなかピースが見つからない、といった状況です。
>アイデアの初期段階では「プロトタイプを作り込みすぎない」
>プロトタイプは顧客課題を検証するための手段にすぎないので、出来るだけ時間とコストをかけずに作り、課題に合わせてアップデートしていく方が良いでしょう。
これは本当に身につまされます。わかっているはずなのにやってしまいがちなことです。
常に、この罠にかかっていないか?を組織として問うていくことなのかな~と思います。

8:トップセールスによるお付き合い
>出来ればソリューションやビジネスモデルが見えてくる検討段階からステークホルダーとして事業部の関係者をヒアリングなどで巻き込んでおく方があとあと話がしやすく、もっと先の事業化のフェーズでもしその事業部でローンチすることになった場合にもアイデア検討時に参加していた人たちは自分ごととして捉えやすくなるので、スムーズに合意形成できる可能性が高まります。種をまいておく、ということです。

「種をまいておく」。新規事業君、新規事業さんは、この9番に書かれていることだけでなく、「種をまいておく」ということを色々な場面でやっていかなくてはなりません。それをためらってはいけないのです。とにかく、地道に「種をまいておく」のです。

9:なぜ自社でやるかが語れない
>新規事業を起承転結で考えることです。
>アイデアを0→1から単一プロダクトの商用化まで持っていくフェーズが「起承」の部分にあたります。その後グロースをさせて「転」のフェーズで単一プロダクトから複数の機能・価値提供やビジネスパートナーとの連携を含むエコノミーを創り、「結」のフェーズで本業である既存事業とも合流し、既存事業のひとつとなることを目指すというものです。
「新規事業を起承転結で考える」は目からうろこでした。
新規事業君、新規事業さんはこのステップを意識するのが良いですね。

10:アイデアが小粒
>妄想でニュースリリースを書いてみるのもおすすめです。
ニュースリリースをテンプレートに事業計画書を作成するというのはAmazonなどの例が有名ですが、確かにニュースリリースというのは事業計画を考える上ですぐれたテンプレートであると言えます。
どの企業のニュースリリースにも「背景と事業機会」「概要(提供価値と訴求点)」「利用シーン/ユースケース」「提供開始日(スケジュール)」「今後の展開(成長戦略とロードマップ)」などの項目があると思います。
つまり事業仮説に必要な要素はだいたい詰まっているのです。
>またニュースリリースは通常、新規性や話題性、独自性があり、社会や市場に対してニュースバリューがないと出せません。

この手法はアマゾンが採用している手法としても有名ですね...程度の認識しかなかったのですが、上記のくだりを読んで、そうか!と唸りました。

(本稿は2023年に投稿したものの再掲です。)画像のタイトルを入れてください