新・情報処理技術者試験の実証試験に参加します
ご存知の方も多いと思いますが、来年から情報処理技術者試験の「基本情報技術者試験」「セキュリティマネジメント試験」の2区分において、新方式での試験形態となります。
詳しくはこちらのリンクをご覧ください。
情報処理技術者試験における出題範囲・シラバス等の変更内容の公表について(基本情報技術者試験、情報セキュリティマネジメント試験の通年試験化)
変更内容の要点
試験の通年化
今までの情報処理技術者試験は春と秋、年2回実施されてきました。いわゆる高度試験は春か秋のどちらか、その下位試験となる基本情報技術者試験などは春と秋どちらも実施されてきました。
このうち、冒頭に記載した2種類の検定試験が通年化、つまり年2回といわずいつでも受験できる方式に変わります。
IBT(Internet Based Test)方式の導入
試験通年化に伴い、試験会場にわざわざ足を運ばなくても自宅等でリモート試験を受けられるようになります。これをIBT方式と呼ぶそうです。地方によっては試験会場まで遠かったり、公共交通機関が使えなかったりして不便な面が多かった今までの試験ですが、自宅受験できるようになることにより利便性が高まり、さらなる受験率の増加が期待できるのではないか、ということだと思います。また昨今の新型コロナウイルス事情も踏まえ、ソーシャルディスタンスを保った試験方法に切り替えるという背景もあるかと思います。
試験内容の大きな変更
IBT方式にしたからかどうかなのかはわからないですが、試験の出題形式や内容も大きく変わります。
午前試験の問題数と試験時間の減少
まず午前試験で出題される問題数が減ります。しかし、それ以上に試験時間も減ります。
現状は問題数80問で試験時間は150分でしたが、新方式では60問で90分となり、1問あたりにかけられる時間が2分程度から1分30秒ほどになります。これは単純に試験自体が難しくなったと言えるかと思います。
ただ、午前試験は早めに終わってしまう人も多く、割と暇を持て余す感じだったので「しっかり合格できる人」の現状に合わせた措置なのかもしれません。
午後試験の選択問題、プログラミング言語別問題の廃止
午後試験は今までは色々なジャンルの設問から各々の得意分野を選択する形式でしたが、新試験では全て必須問題となり、「セキュリティ」と「アルゴリズム」に重点をおいた内容になるようです。プログラミング言語別の設問は廃止され、疑似言語(試験オリジナル言語。今までのアルゴリズム分野で出題されていた疑似言語と同じ)によるアルゴリズムを問う問題に再編されます。
これは現代の情報処理技術者として最低限習得して欲しい知識としてセキュリティ分野が重要になったことと、プログラミング言語は知っていてもプログラムの組み立て方、問題解決に至るまでの考え方が身についていない受験者を篩い落とすための措置であろうかと思います。
今までの試験では、その気になればアルゴリズム分野は全滅、プログラミングができない人でも表計算ソフトの使い方だけ習得していれば午後試験を抜けることができてしまっていたようです。アルゴリズムの習得はプログラミングにおいて最重要技術ですし、私がMENTAを通して教えたメンティーさんの最近の傾向としても、プログラミング言語自体は覚えているが問題解決(設問の内容をプログラミングで表現する)ができない人が多いように感じているので、言語習得よりもアルゴリズムを先に覚えるよう誘導する意味が込められていると思います。
事実、小中学校で始まっている情報の教育でもプログラミング言語を教えるというよりはアルゴリズムを教える内容になっているみたいです(教科書を見る限りでは)。
採点方式がIRT方式へ変更
今までは単純な正答数で合否が決まっていましたが、新方式はIRT方式へ変更となります。
IRT方式は単純な正解、誤答で点数を判断するのではなく、問題の難易度やトレンドを考慮した配点となるようです。原稿ITパスポートと同じ仕組みです。詳しくはWikipediaの記事「項目応答理論」を参照。
この試験方式は設問に対する難易度などのデータが十分に集まらないと正統な評価ができません。長らく単純な正答数で合否を決める方式でしたが、ようやく十分なデータが集まったのかもしれません。
試験を体験してみます
上記のように試験の在り方が大きく変わりますが、本番の前に一度実証試験が行われます。
基本情報技術者試験と情報セキュリティマネジメント試験でインターネットによる実証試験を実施
来年から始まる本試験と同じ形式でIBT試験と、従来と同じCBT試験(試験会場へ行き、コンピューターで回答する方式)両方での実施となります。
私もIBT試験を実際に受けてみることにしました。実は私は現行体制下での基本情報技術者はとっていません。旧体制の同難易度の試験(情報2種)は合格しています。なので現行試験の難易度を実際に感じたことがないんですね。そこで今回の実証試験を契機に実際に試験を体験することで、これから受験される方へのアドバイスなどに役立てたいと思います。
試験終了後に、許される範囲で試験の様子などをナレッジで公開したいと思います。
よろしくお願いいたします。
今わかっていることは、試験中はWebカメラで常時監視されること、午前試験と午後試験を同時に受ける場合は休憩時間が10分しかない、というくらいです。なかなか厳しそう!