英語学習において基本となる勉強方法のひとつに、リーディングがあります。多読は確かに大切ながら、その前に精読が大切であるということについては以前に記事にした通りです。

参考URL: https://menta.work/post/detail/22564/UVGQGLg1tH2FPR38tXBV

それを踏まえ、ここでは『使える英語』を身につけるための英語の読み方について考えます。

1: 読み方の色々

一口に英語を読むと言っても、読み方にも色々あります。より正確には、英語を読むに限らず、文章を読むときには目的に合わせた読み方があるのです。

例えば、自分が何らかの家電を購入したいと考えているとしましょう。そのとき、購入の決め手になるようなポイントが頭の中にあるはずです。値段、大きさ、性能、他の人のレビューなど、それは様々でしょう。しかし、もしあなたが値段を第一に考えているなら、家電を扱うオンラインサイトを開いたとき、最初に『値段』をチェックするはずです。あるいは、『現在のセール』などがトップページにないかを確認し、その中に目的の家電がないか見てみるということもするかもしれません。このとき、わざわざページ全体の文言をすべて読むということはしないでしょう。

このように、文章全体の一部をカットしつつ、必要な情報だけを求めて読むという読み方がある一方、例えば何かの報告書やデータなどを読むときには、その内容が正しいかどうかを精査しながら読むということもあるでしょう。この場合、基本的に全体を読むことになりますが、特に重要な情報に注目しつつ、その情報が何を言っているのか、正しいことを言っているのか、といったことを確認する読み方になるはずです。

あるいは小説を読むときには、ある人は面白くないと感じたところをほとんど読み飛ばしながら読み、また別の人はすべての文章を味わうように読むでしょう。いずれの場合でも、(推理小説などの楽しみ方のひとつとしては別として)何らかの答えを見つけようとしたり、批判的に読んだりすることはないはずです。

一方、批判的に読むパターンとしては、誰かの文章を校正するときや、何かの文章に対して批評や書評をする場合があります(もちろん、肯定的に読みながら書評をする場合もあるでしょう)。

2: 試験のための読み方と、そうでないときの読み方の違い

以上のように、文章の読み方、あるいは『読み方の態度』は様々です。では、英語の試験における読み方はどういう読み方でしょうか。

もちろん、上記のどの読み方をしたとしても、英語の試験問題に対応することはできるでしょう。しかし英語の試験における長文は『問題を解くこと』を前提としており、試験の点数を取る上では『問題の答えを見つけようとする読み方』が有効であるとされています(だからこそ、「先に問題を読んでから答えを見つける」というやり方が一般に受け入れられています)。

この「何らかの答えを見つけようとする読み方」は重要なスキルではあるのですが、いざ洋書などを本腰を入れて読もうとすると集中力が続かないなどの問題が起こったり、「何が書いてあるのか知りたい」という動機で文章を読むときには要点を見つけにくいと感じたりすることがあります。

つまり、試験勉強を通じて英語を学ぶ場合、意識しなければ"内容を理解しようとして読む"という態度が育まれないことがあるのです。

3: どうすれば良いか?

まずひとつの方法としては、英文を読むときに、毎回「さて、何が書いてあるのかな」と内容を楽しみにしつつ読むという方法があります。その文章は面白い文章かもしれませんし、あるいは退屈な文章かもしれません。もしかするととても有益な内容ということもあるでしょうし、逆に読んだ後に「時間を無駄にした」と感じるような文章という可能性もあるでしょう。

しかしとにかく、まずは「どんな内容なのだろう」と思いながら読んでみましょう。試験勉強や試験中においては、そういった読み方をしていると時間が足りなくなるということもありますので、試験時間に対して余裕があるときや、普段からネットの英語記事を読むときなどの態度として、そういったアプローチを心がけるのが良いでしょう。

また同時に、様々なジャンルや種類の文章を読むことが重要であるということも言えます。エッセイなどの場合は作者の主張や文章の巧拙などを理解し、楽しむために読むことになりますし、情報がメインの記事であればその情報が正しいものか、バイアスのある内容になっていないかといったことを考えながら読むことになります。小説を読む場合には、情景描写に浸りながら主人公や登場人物の心に自分を重ねて読むことになるでしょう。

このように、様々な種類の文章を普段から読むことで、同時に色々な読み方を習得することもでき、結果としてただ『英語の長文問題が得意』なだけではなく、『英語の文章を読める』という本当に使える英語力を養うことにも繋がるのです。