エラーが出ているうちは、まだ親切なほうです ── 本当に厄介なのは静かに間違っているコード
エラーが出ると、たいていの人は落ち込みます。赤い文字が並ぶと、自分が何か悪いことをしたような気持ちになります。
でも学習を進めていくと、見方が変わってきます。エラーが出てくれたほうがありがたい、と思う場面が出てきます。
本当に厄介なのは、エラーが1つも出ないのに、結果だけが違っているときです。
以前「AIが『できました』と言っても、実は作られていない機能がある」という話を書きましたが、今日はその先です。実装はされていて、動いてもいる。でも結果が間違っているというケースを、自分の操作で見つける話をします。
昨日は「インストール時に出る文字をどう読み分けるか」を書きました。今日は逆に、文字が何も出ないときの話です。
エラーは「気づかせてくれる」側
エラーが出るというのは、動かす前か動かしている途中で、何かがおかしいと教えてもらえたということです。
しかも、たいていの場合は場所も一緒に教えてくれます。ファイル名と行番号が出るので、そこを見にいけます。原因が分からなくても、探す範囲は決まっています。
だからエラーは、実は親切な側の出来事です。
厄介なのは、静かに間違っているとき
問題は、こういうケースです。
- 保存ボタンを押しても、エラーは出ない。でも実際には保存されていない
- 一覧は表示される。でも本当は15件あるのに10件しか出ていない
- 合計金額が出ている。でも税込みのつもりが税抜きで計算されている
どれも画面は正常に見えます。赤い文字は1つも出ません。確かめようとしない限り、気づきにくいまま残ります。
そして、こういうものほど後になって発覚します。人に見せたとき、しばらく運用したとき、あるいは別の機能を作っている最中に「あれ、この数字おかしくないか」と気づくときです。そのときには、いつから間違っていたのかが分からなくなりがちです。
AIを使うと、この比率が変わります
ここが今日いちばん伝えたいところです。
自分でコードを書いていた頃は、書き間違いによるエラーがたくさん出ました。タイプミス、閉じ忘れ、名前の間違い。これらはたいていエラーとして表面化します。
AIに書いてもらうと、タイプミスや閉じ忘れのような、書き写しで起きる類の間違いは減りました。もちろん動かないコードが返ってくることもありますが、その場合はエラーが出るので気づけます。
体感では、エラーとして表に出る間違いが減った分だけ、「静かに間違っている」ほうが目立つようになりました。AIは「こちらの意図と違うこと」は普通にやるからです。意図が伝わっていなければ、伝わっていないなりの、きちんと動くコードが返ってくることがあります。
「エラーが出ないから大丈夫」という感覚は、AIを使うようになるほど当てにならなくなる、という言い方ができます。
対処:作った直後に、わざと外れた値を入れる
とはいえ、毎回すべてを疑っていたら進みません。1つだけ習慣にするなら、これをおすすめします。
機能を作った直後に、うまくいかないはずのケースを1回試す。
テストコードを書く話ではありません。画面で1回触るだけの話です。
- 保存機能を作ったら → 保存したあとにページを開き直して、残っているか見る
- 一覧を作ったら → データを1件足して、件数が1つ増えるか見る
- 検索を作ったら → 絶対にヒットしないはずの文字を入れて、0件と出るか見る
- 入力欄を作ったら → 空のまま送信して、どうなるか見る
並べると手順のように見えますが、言いたいのは1つだけです。正常なケースを確認しても、ほとんど情報が増えないということ。作っている最中に何度も見ているからです。見る価値があるのは外れたほうで、静かな間違いはだいたいそちら側に隠れています。
どれも1操作で終わります。作った直後にやるのがポイントで、後回しにすると「何を確かめるつもりだったか」を忘れます。
AIに手伝ってもらう場合
確かめる観点自体をAIに出させることもできます。
いま実装した「お気に入り登録」について、
うまくいかないはずのケースを5つ挙げてください。
条件:
- 実際に私が画面で試せる操作の形で書いてください
- それぞれ「こう操作したら、こうなるのが正しい」の形で書いてください
- コードの説明は不要です
「画面で試せる操作の形で」と指定するのが効きます。これが無いと、テストコードの書き方や内部の話が返ってくることが多く、その場で試しにくくなります。
慣れてくると、この観点は自分の中に溜まっていきます。「保存系を作ったら開き直す」「一覧を作ったら件数を数える」といった形で、頼まなくても手が動くようになります。
これは仕事の進め方にも同じことが言えます
うまくいったケースだけを確認して完了にするという癖は、プログラミングに限らずあります。
資料をAIに作ってもらって、ざっと読んで問題なさそうだから提出する。データを集計してもらって、それっぽい数字が出たから採用する。どちらも「エラーが出ていないから大丈夫」と同じ構造です。
AIに任せる範囲が広がるほど、出てきたものが静かに間違っている可能性を見にいく手間の価値が上がります。ここは人間側に残る仕事だと思っています。
まとめ
- エラーは気づかせてくれる側。場所まで教えてくれるぶん親切
- 厄介なのはエラーが出ないのに結果が違うもの。確かめようとしない限り気づきにくい
- AIを使うと書き写し系の間違いが減るぶん、静かな間違いのほうが目立ちやすくなる(体感)
- 対処は1つだけ。作った直後に、うまくいかないはずのケースを1回試す
- 観点が思いつかないときは「画面で試せる操作の形で」5つ挙げさせる
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