20名の社員・70名のパートナーを、どう1つのチームとして動かしたか
プレイングマネージャーとして、最大20名の社員と70名のパートナーを統括してきました。立場も雇用形態も異なる約90名を、バラバラな集団としてではなく、一つのチームとして機能させるには、個人への向き合い方だけでなく、組織としての「仕組み」が欠かせません。
この記事では、規模の大きい、かつ属性の異なるメンバーが混在するチームを動かすために、実際に整えてきた仕組みについてお伝えします。部下一人ひとりの育成については別の記事で触れているため、ここでは組織全体を動かすための構造づくりに焦点を当てます。
規模が大きくなると、何が変わるのか
数名のチームであれば、リーダーが全員の状況を直接把握し、その都度指示を出すことでも回ります。しかし、社員とパートナーを合わせて90名規模になると、この方法は物理的に成り立たなくなります。
規模が大きくなったときに起きる典型的な問題は、次のようなものです。
- リーダーに情報や判断が集中し、ボトルネックになる
- 誰が何を担当しているのか、全体像が見えにくくなる
- 社員とパートナーの間で、情報の伝わり方に差が生まれる
- 同じ判断でも、担当者によって基準がばらつく
これらは、個人の能力や努力で解決できる問題ではなく、組織の「構造」を変えることでしか解決できません。
実践してきた仕組み1:権限を、階層的に委譲する
すべての判断をリーダー一人が抱え込む構造では、規模が大きくなるほど判断が追いつかなくなります。そこで、判断の範囲をあらかじめ階層ごとに決め、権限を委譲する構造を作ってきました。
具体的には、「現場の細かい判断はリーダー層に任せる」「一定規模以上の判断や、複数チームにまたがる調整は自分が担う」というように、判断の粒度によって担当者を分けます。この構造があることで、末端まで自分がすべて把握していなくても、チーム全体が滞りなく動く状態を作れます。
権限委譲でつまずきやすいのは、「任せたつもりが、結局細かく口を出してしまう」ことです。委譲した範囲については、多少やり方が自分と違っても口を出さないという線引きを、自分自身に課すことも重要でした。
実践してきた仕組み2:情報の非対称性を減らす
社員とパートナーが混在するチームでは、「社員には伝わっているが、パートナーには伝わっていない」という情報格差が生まれやすくなります。この格差は、チームとしての一体感を損ない、パートナー側のモチベーション低下にもつながります。
これを防ぐために、事業の方向性や重要な決定事項は、社員・パートナーの区別なく、同じタイミング・同じ内容で共有することを徹底してきました。パートナーだからといって伝える情報を絞るのではなく、「なぜこの判断をしたのか」という背景まで含めて共有することで、単なる作業者ではなく、判断できる戦力として関わってもらえるようになります。
実践してきた仕組み3:判断基準を、属人化させない
担当者によって判断がばらつくと、チーム全体としての一貫性が失われ、利用者や顧客からの信頼にも影響します。この問題を防ぐために、頻繁に発生する判断については、基準をドキュメント化し、誰が担当しても同じ結論に至れるようにしてきました。
すべてをマニュアル化することは現実的ではないため、「発生頻度が高く、かつ判断がばらつきやすいもの」に絞って基準を整備するようにしています。基準を作った後も、実際の運用の中で見えてきたズレを反映し、継続的に更新していくことが欠かせません。
実践してきた仕組み4:小さなチーム単位で、動ける構造にする
90名規模を一つの塊として管理しようとすると、意思決定のたびに大きな摩擦が生まれます。そこで、機能や担当領域ごとに小さなチーム単位を作り、それぞれのチームの中で完結できる判断はチーム内で完結させる構造にしてきました。
この構造にすることで、全体としての規模は大きくても、実際に動く単位は小さく保たれ、意思決定のスピードを落とさずに済みます。小さなチーム単位のリーダーには、前述の権限委譲の考え方を適用し、それぞれのチームが自律的に動ける状態を目指してきました。
仕組みを作るうえで、大切にしてきた視点
1. 仕組みは、完成させてから運用するものではない
最初から完璧な仕組みを設計しようとすると、時間ばかりかかってしまいます。まずは大まかな構造を作り、実際に運用しながら、うまくいかない部分を見つけて修正していくというスタンスを取ってきました。
2. 仕組みがあっても、個人への関心を失わない
権限委譲や仕組み化は、リーダーが個々のメンバーへの関心を失ってよい理由にはなりません。仕組みで大枠を機能させながらも、個別のメンバーの状況には、意識的にアンテナを張り続けることが必要です。仕組みと個人へのケアは、両立させるべきものであり、どちらか一方に偏ると組織はうまく機能しなくなります。
3. パートナーを、"外部の人"として扱わない
70名規模のパートナーとの協業で特に意識してきたのは、パートナーを社員と区別しすぎないことです。契約形態は異なっても、事業の目的やチームの一員としての意識を共有できるかどうかが、チーム全体としての機能性を大きく左右します。
まとめ
20名の社員と70名のパートナーを一つのチームとして動かすために整えてきた仕組みは、次の通りです。
- 判断の粒度に応じて、権限を階層的に委譲する
- 社員・パートナーの区別なく、重要な情報は同じタイミングで共有する
- 頻発する判断は基準を言語化し、属人化を防ぐ
- 小さなチーム単位で自律的に動ける構造を作る
規模が大きくなるほど、個人の頑張りだけではチームは機能しなくなります。仕組みによってチーム全体の動きを支えながら、同時に一人ひとりへの関心を失わない——この両立が、大規模なチームを一つにまとめるうえで、最も大切な考え方だと感じています。

