起業して売上1000万円を目指す過程で、多くの人が同じところでつまづきます。業種が違っても、失敗するポイントは共通しているのです。

この記事では、これから起業する人、すでに起業している人に向けて、陥りがちな5つの危機とその対策をお伝えします。

今すぐには役立たないかもしれません。しかし、これから先起こることを予言するような内容なので、覚えておくと後から必ず効いてきます。


危機1:集客を軽視する

集客はすべての基礎です。お客さんがいて初めて売上は成り立ちます。

よくある失敗パターン

サンドイッチ屋さんをオープンしました。でも全然お客さんが来ない。サラダボウル屋さんを始めたけど、1週間で1日1〜3組しか注文が入らない。「こんなはずじゃなかった」と嘆く人は多いです。

対策:始める前から集客を始める

集客は始める前から始めてください。これは鉄則です。

始める前から集客しないと、誰もそこにそれがあることを認知してくれません。BtoBのサービスでも同じです。事前にモニターという形でクライアントを集めておく、無料でテストユーザーを集めるといった方法があります。


危機2:情報発信をしない

「ブログやっても意味ない」「YouTubeやっても意味ない」「SNSに力入れても誰も見てくれない」——そう言って情報発信しない人が増えています。

しかし、発信しない限り誰も気づいてくれません。発信しない限り誰もあなたのことを知らないのです。

やってはいけないこと

「とりあえずブログ開設しよう」「とりあえず投稿だけしておこう」——これは絶対にやめてください。

その媒体ごとに、どういうユーザーに、どういう発信をして、どういう情報を届けたいのか。これをしっかり決めてから発信してください。

継続することの重要性

大谷選手も、生まれた瞬間に野球がうまかったわけではありません。地道にコツコツやり続けて今があります。有名なインフルエンサーも、SNSを始めていきなりフォロワー1万人になったわけではありません。

誰でも0からのスタートです。 継続できる仕組みをしっかり考えて作ることが大切です。


危機3:誰でもOKのターゲット設定

「あなたのサービスはどういうお客さんが対象ですか?」

「10代から60代、男性もしくは女性、全員です」

——全員じゃないですか。

なぜダメなのか

老若男女すべての人に愛されるサービスを最初から作ろうとしないでください。断言します。無理です。

大企業ですら、莫大な資金を投下してようやく実現できるレベルの話です。ベンチャーやスタートアップがいきなり全員をターゲットにしてマーケティングするなんて、最初から無理な話なのです。

対策:ターゲットを絞り込む

ターゲティングは尖らせれば尖らせるほどいいです。

広告で「刺さる」という表現を使いますが、刺すためには尖らせないとダメなんです。ターゲットが広いと、面でガッといっているようなもの。刺さりません。

どんなサービスであっても、まずは誰に刺しに行くのかをしっかり決めてください。


危機4:価格競争に陥る

「他の競合と何が違うんですか?」「特に強みもないんですけど…」

こういうサービスや商品がよく陥るのが価格競争です。

価格競争の末路

強みがない、ターゲットが広い。だからたくさん売るために価格を下げていく。しかし、価格競争で勝てるのは大資本を持っているところだけです。

さらに、あなたは安く売りたいですか?高く売りたいですよね。みんなそうなはずなのに、強みやターゲットがないと価格競争に陥り、利益率がどんどん下がっていきます。

対策:安さをベースにしない

「安いからうちを選んでください」という売り方は基本的にしないという前提で、商品設計・サービス設計をしてください。

そのベースを作った上で、「今なら期間限定」「初めてのお客様へのお試し」「モニター価格」としてならOKです。安いをベースにすると基本的に良くない——これは覚えておいてください。


危機5:ROI(費用対効果)を計算しない

広告に投資して、その結果どういう費用対効果が得られたのか。しっかり計算していますか?

「とりあえず100万ぐらいいろんなところに使ってみて、なんか売上上がったからOK」——これではダメです。

把握すべき数字

  • この広告媒体にいくらかけて、いくら回収できたのか
  • CPA(顧客獲得単価)はいくらか
  • CPC(クリック単価)はいくらか
  • CVR(コンバージョン率)は何%か

費用対効果がわかっていないと、気づかないうちに回収できておらず、どんどん赤字を垂れ流す状態になります。


危機6:お金の無駄遣い

お金がドカッと入ってきたとき、必要じゃないものを買ってしまう。給料日に焼肉を食べに行く。人間は無駄遣いしてしまう生き物です。仕方ありません。

しかし、会社ではお金の無駄遣いが命取りになります。

後払いの怖さ

会社は基本的にいろんなことが後払いです。

  • 仕入れ:末締め翌月払い
  • 請求:末締め翌月入金
  • クレジットカード:翌月引き落とし

後払いになるものが実際いくらあるのか、いつ払わないといけないのか。必ず把握しておいてください。会社がある程度大きくなったら経理に任せればいいですが、まだ小さいうちは社長が必ず把握するようにしましょう。

システム投資の罠

「このシステムを導入すれば効率化だ、DX化だ、自動化だ」——便利な時代になりました。

しかし、そのサービスは今あなたの会社に必要ですか?過剰投資になりませんか?

初めに過剰投資をしてしまうと、全然回収できずに失敗します。慎重に選んでください。

必要最低限のシステムを自分で作る、Googleドライブなどのコストゼロで使えるサービスを活用するといった方法もあります。

支払いの見積もり

毎月出ていくお金には「固定費」と「変動費」があります。これを必ず把握し、しっかり分類してください。

数千円、数万円単位の「そこまで高額じゃない支払い」を無視して、それが積み重なって大きな支出になり、首を絞めていくケースはよくあります。

プール資金を確保する

会社の口座には、何もしなくても売上がゼロだったとしても、半年、できれば1年間食っていけるだけのお金を残しておきましょう。

これがないと、売上が急に立たなくなったときに倒産するしかなくなります。事前に借り入れをしておくことも大切です。

見栄を張らない

見栄を張るのは無駄です。

  • 無駄に豪華なオフィスを六本木に構える
  • 社長になったからルイ・ヴィトンのカバンを買う

そんなことはやめてください。自分の身の丈に合ったものを選んでいきましょう。

見栄を張っている人は、見る人が見たらすぐわかります。その方がよっぽど機会損失です。見栄を張って騙せる相手は、その程度の相手なのです。

本当のお金持ちは、わざわざ見栄を張る必要がありません。SNSで金持ちアピールして何かに誘導している人の90%以上は、何らかの詐欺です。


危機7:無計画で進める

売上目標の立て方

「売ってるものが10万円だから、まあ100万ぐらいいけそうかな」——これではダメです。

売上目標100万なら:

  • 100万上げるために何人と契約が必要か
  • 何人にサービスを提供するのか
  • 見込み客を何人集めるのか
  • そのうち何%が成約するのか

このように細かく具体的に分解して書き出してください。

資金繰り計画

会社は後払いです。いつ、いくら出ていって、いつ、いくら入ってくるのか。これをしっかり理解して、余裕を持った資金繰りを考えておきましょう。

市場の変化を見る

市場は必ず変わります。

自動車産業を見てください。馬車から蒸気機関車、ガソリン車、ハイブリッド、EVへと変わってきました。車が売れるという事実は変わらなくても、どういう車が売れるかは変わっています。

ラーメン屋でもカフェでも同じです。市場が変化することを見越して、動向を見守り、計画を立てて対応していくことが重要です。

マイルストーンを設定する

目標を決めて計画を進めていくとき、途中途中の起点となる目標を設定してください。

「売上100万を目指す」だけでなく、達成するためにまず何をしないといけないのか、明日何ができるのか——そこまで細分化することが重要です。

振り返りを必ず行う

振り返りをしない人が多すぎます。これは絶対にやらないとダメです。

  • この1年どうだったか
  • この半年どうだったか
  • 四半期どうだったか

良かったなら、なぜ良かったのか。この状態を来年も続けるにはどうすればいいか。うまくいかなかったなら、なぜうまくいかなかったのか。どうすれば改善できるか。

振り返りをしない限り成長はしません。仮に成長していたとしても、それはたまたまです。


危機8:顧客を無視する

「顧客を無視なんてしないよ」と思うかもしれませんが、本当に真摯に向き合っていますか?

事前ヒアリングの重要性

自分の想像だけで「こういう人は困っているだろうな、だからこういうサービスをやったら受けるんじゃないか」——そんな安易な考えはやめてください。

「子育て中の主婦向けに革新的なサービスを作ろう」と思いついても、売れないことがよくあります。

もし革新的なアイデアを思いついたら、一度振り返ってみてください。なぜそのサービスがないのか。 自分より頭のいい人がゴロゴロいるビジネスの世界で、なぜ誰もやっていないのか。そこには必ず理由があるはずです。

それを見極めるために、事前ヒアリングは欠かせません。主婦をターゲットにするなら、主婦の人に聞いてみましょう。友達にいなければ、友達の友達を辿って聞いてみましょう。

評判への対応

今やGoogleの口コミ1つで集客が変わる時代です。店舗ビジネスをするなら、Googleマップに必ず店を登録し、口コミが入ったら放置せず、必ずしっかり対応してください。

オンラインだけでなく、対面でも同じです。サービスに不満があるお客様には「何が気に入らないですか」「どうすれば続けてくれますか」としっかり聞くことが大切です。

リピートしない理由を深掘りする

継続的に買ってもらうサービスでは、リピート率が非常に重要です。リピートしない人は自然に消えていきますが、その人たちになぜリピートしないのか聞く機会を設けてください。

アンケートを取るだけ取って終わり、という人も多いです。アンケート結果から次にどうするのか、回答者はどういう属性なのか、しっかり理解した上で次のアクションプランを決めていきましょう。

クレーマー扱いしない

「なんか文句言ってくる、クレーマーだ、無視しよう」——これではダメです。

確かに、本当に無視した方がいい人もいます。過剰なサービスを要求してくる人、夜中でも電話に出ろという人。そういう人はいます。

しかし、いきなりクレーマー扱いしないでください。クレームを言ってくれる人には「ありがとう」なのです。

クレームの声の中に、サービスを改善するヒントが隠されています。まずは耳を傾け、まずは謝り、「どうすればいいですか」「あなたの要求は何ですか」「満足する状態はどんな状態ですか」と聞いてみてください。

ただし、永遠に付き合い続ける必要はありません。線引きはしっかりしましょう。


危機9:すべて自分でやる

これが1000万円の壁において、最も邪魔してくるポイントです。

ここでつまづいて売上が伸びない人をたくさん見てきました。逆に、このポイントをしっかりクリアしている人は、1000万円の壁を余裕で超えています。気づいたら5000万、1億という人も多いです。

なぜ危険なのか

自分でやれば費用はかかりません。誰かに依頼すればお金がかかる。だから自分でやろう。

これはかなり危険です。

当然、自分がその仕事を理解するためにやる時期はあってもいいです。しかし、早いうちに他の人に依頼できる仕組みを作っておきましょう。

任せられない問題

ワンマン経営者にありがちなのが「任せられない」という問題です。自分が口出ししないと気が済まない。

伸びている会社の特徴は、どんどん人に任せていくことです。

人を伸ばす社長は余計な口出しをしません。「任せる」と言ったら任せる。失敗したら自分が責任を取る。人は任せられることで責任感が生まれ、自発的に行動し、失敗や成功の経験から成長していきます。

任せた瞬間に売上が下がるのは当たり前です。自分が社長なら、誰よりも自分がサービスや会社のことを理解しているのだから、自分がやった方が売上は上がります。でも、任せて徐々に成長させていくものなのです。

専門家を活用する

会社経営では、専門家に依頼することがたくさんあります。税務、労務、決算書作成、契約書作成、給与計算、保険…。

「お金がもったいないから自分でやろう」と言って、今から税理士や社労士の勉強を始めるのですか?そっちの方がよっぽど時間の無駄です。

専門的な領域は専門家にどんどん任せてください。ただし、無駄遣いはしないこと。相見積もりを取り、自分にベストマッチする専門家を探してください。

アライアンスを構築する

営業で開拓していくとき、アライアンス(協業)が重要です。

ここをしっかり作れる会社は、2〜3年で急激に成長できます。 ここをないがしろにするところは、1〜2年目でずっと横ばいです。

全部自分で入りを開拓するのではなく、自分のサービスを共に広めてくれる人、紹介してくれる人を見つけていってください。

メンターを持つ

これから経営するなら、経営者の先輩や経験者をメンターにしましょう。

合う合わないがあるので、いろんな人を探してみてください。業種・業態によって、あなただけにしか当てはまらない項目はたくさんあります。それに合わせて相談に乗ってくれるメンターを見つけることが大切です。


まとめ

売上1000万円までに直面する5つの危機と対策を振り返ります。

  1. 集客を軽視 → 始める前から集客を始める
  2. お金の無駄遣い → 後払いを把握し、プール資金を確保する
  3. 無計画で進める → 目標を細分化し、振り返りを必ず行う
  4. 顧客を無視 → 事前ヒアリングとクレーム対応を大切にする
  5. すべて自分でやる → 人に任せ、専門家とアライアンスを活用する

いろんな業種・業態によって当てはまらないこともあるかもしれません。しかし、これを1つの勉強だと思って、どこかに記録・保存しておいてください。

この先つまづきそうになったとき、「あ、ここに石があるって言ってたな」と思い出せるはずです。