生成AIで自動化してはいけない業務の見分け方
生成AIを業務に入れようとするとき、多くの人が「どこを自動化するか」から考えます。
順番が逆です。先に決めるべきは「どこを自動化しないか」のほうです。
私は事業会社でマーケティングを統括しながら、社内の自動化基盤を組んでいます。
エンジニアではなく業務側の人間として、数年かけて仕組みを積み上げてきました。
その過程で、自動化してはいけない業務がはっきりしてきました。
■ 自動化してはいけない業務の3条件
【1】間違えたときに取り返しがつかない業務
たとえば、外部サービスの管理画面での承認操作や、提携の解除。
これらは一度実行すると元に戻せません。
私が関わっている広告レポートの自動化では、
データのダウンロードだけは人間がやる運用にしています。
誤って成果を承認したり、媒体との提携を解除したりした場合の損害が、
自動化で浮く時間に見合わないからです。
判断基準は単純です。
「間違えたとき、自分で直せるか」。直せないなら自動化しません。
【2】実行の頻度が低い業務
年に数回しか発生しない業務を自動化しても、元が取れません。
それどころか、次に使うときには仕様が変わっていて、
作り直すほうが早いという事態になります。
目安として、月に1回以上発生し、
1回あたり15分以上かかる業務から手をつけるのが現実的です。
【3】その業務のあり方自体が、まだ定まっていない業務
これが一番見落とされます。
手順が固まっていない業務を自動化すると、
固まっていない手順が固定されてしまいます。
あとから変えようとしたとき、仕組みごと作り直すことになります。
新しく始めた業務は、3か月ほど手作業で回してからにしてください。
そのあいだに手順は必ず変わります。変わらなくなってからが、自動化の適期です。
■ では、どこから手をつけるか
上の3つに当てはまらない業務のうち、
「毎回同じ形のものを、決まった場所から取ってきて、決まった場所に置く」
という性質のものが最優先です。
定例レポートの集計、データの転記、フォルダ分け、通知。
このあたりは効果が出るのも早く、失敗しても被害が小さい領域です。
■ 最後に
自動化の目的は、時間を浮かせることではありません。
浮いた時間で、人にしかできない判断に集中することです。
だからこそ、判断が必要な業務まで自動化しようとすると、目的から遠ざかります。
何を自動化しないかを決めることは、何を自分の仕事とするかを決めることでもあります。

