HerokuからRenderに移行したいDjango初心者がよくつまずく5つのポイントとその回避法
はじめに
Herokuを使ってDjangoアプリをデプロイしていた方の中には、
数年前に発表された「無料枠の廃止」以降、
他の選択肢を検討するようになった方も多いのではないでしょうか。
この記事では、私が実際にHerokuからRenderへと移行した経験をもとに、
両者の違い、Renderでのつまずきポイント、初心者が注意すべき点などを整理します。
1. サービスの方向性の違い
- Heroku:シンプルで直感的なPaaS。2022年11月の無料枠廃止以降、商用や中規模以上の開発向けの印象が強くなりました。
- Render:同様の思想を持ちつつも、比較的新しいPaaSとして注目され、GitHub連携や環境変数管理などの基本機能をしっかり備えています。
Renderは「Herokuの後継的な位置づけ」として見られることも多いです。
2. Free Web Serviceの特性と注意点
Renderには現在も無料プランが用意されており、個人開発や検証用途では非常に魅力的な選択肢です。
ただし、RenderのFree Web Serviceは15分間アクセスがないと自動的にスリープします。
このとき、次にアクセスが来るとアプリが再起動される(スピンアップ)までに最大1分ほどの遅延が発生します。
例:ページ読み込みが“フリーズしたように”感じられる/APIが一瞬応答しない
商用LPや外部アクセスが頻繁なアプリでは、この仕様がユーザー体験に影響を与える可能性があるため、
Professionalプラン以上(常時稼働)への切り替えを検討するか、UI側で注意書きを表示するなどの対応をおすすめします。
3. Pre-Deploy Commandの有無
- Heroku:
release
フェーズなどで自由に事前処理を追加可能 - Render:FreeプランではPre-Deploy Commandが使えない
そのため、collectstatic
やmigrate
などの処理をBuild Commandに統合する必要があります。
4. 環境変数の扱いやすさ
どちらもDashboardから環境変数を設定できますが、UI面では:
- Heroku:一覧形式で見やすいが、数が多くなるとやや探しにくい
- Render:項目ごとに整理されており、初めてでも迷いにくい設計になっています
5. 静的ファイルやメディアファイルの扱い
- Heroku:WhiteNoiseやAmazon S3の利用が一般的
- Render:構成は似ていますが、Cloudflare R2やS3との連携が前提になることが多いため、設定時に外部サービスの理解も必要です
おすすめの移行ステップ
- Heroku上のコードベースをGitHubにpush
- RenderでWeb Serviceを新規作成し、リポジトリを連携
- 環境変数をRenderに登録
collectstatic
などをBuild Commandに含めて調整ALLOWED_HOSTS
やDEBUG
設定を本番環境用に切り替える
まとめ
HerokuからRenderへの移行は、特にDjangoユーザーにとって大きなハードルはありません。
一部の仕様(Pre-Deploy Commandの制限や、無料プランのスリープ挙動など)を理解すれば、
Renderは今でも無料で使える、信頼性の高いPaaSです。
もし「Renderに移行したいけど不安がある」「Djangoの構成が合っているか確認したい」といった方は、
MENTA経由でサポートも可能ですので、お気軽にご相談ください。