部下の半期評価。コメント欄を、埋めないといけない。
一人ひとりに、それらしい言葉を書くのは、なかなか骨が折れる。

そこで、AIに頼ってみる。「営業職の部下への、評価コメントを書いて」。

返ってきたのは、いかにも"それっぽい"文章。

「主体的に業務に取り組み、周囲と連携しながら成果を上げています」

「うん、悪くない。これでいこう」
そう思って、少し手を入れて、提出する。

ところが、面談の場で、部下に聞かれる。

「"主体的"って、具体的にどのあたりを見てもらえたんでしょうか?」

……答えに、詰まる。そのコメント、自分が見た事実じゃなかったから。
その場は取り繕ったけれど、部下の少し醒めた表情が、ずっと残っている。

こんなヒヤッと、心当たりありませんか?

「それっぽい評価」は、本人には響かない

これは、評価をていねいにやろうとする人ほど起きます。

きれいな言葉で、角を立てず、まとまりよく。
そこに気を取られて、整った文章を用意する。

でも、評価される側が、いちばん知りたいのは、「自分の、どの行動を、どう見てもらえたか」です。

AIが書く評価コメントは、たしかに整っている。
でも、それは"誰にでも当てはまる"一般的な言葉。

「主体的」「連携」「成果」どれも、聞こえはいいけれど、その人固有の、顔が見えない。
しかも、そのコメントは、隣の席の別の部下に渡しても、そのまま通用してしまう。
誰にでも当てはまる評価は、結局、誰の心にも残りません。

だから、受け取った部下は、こう感じます。

「よくある、当たり障りのない評価だな」——ちゃんと見てもらえた実感が、湧かない。

評価は、伝わってはじめて、次への力になる。
そこが空っぽだと、面談そのものが、形だけになります。
これは、育てる立場として、けっこう痛い。

ズレているのは、「評価の根拠」を渡していないこと

ここで、AIを頼ったのが悪いわけでは決してありません。
言い回しを整えるのは、AIの得意分野です。

ズレているとすれば、"何を評価するか"の中身を渡さないまま、
「コメントを書いて」と頼んでいるところです。

評価コメントの核は、うまい言葉ではなく、

「この人の、どの場面を見て、そう思ったか」

その具体的な事実です。

たとえば、

  • 「主体的に取り組んでいる」
    では、空っぽ。

  • 「クレーム対応で、上司の指示を待たず、その日のうちに顧客へ一次連絡を入れていた」
    ここまで具体だと、「見てくれていた」と伝わる。

この"その人だけの事実"は、日々そばで見てきた、あなたにしか書けません。
AIに丸ごと任せると、ここがすっぽり抜けて、きれいなだけの、通り一遍の評価になるんです。

具体が出てこないのは、まだ見きれていないから

そして、もう一つ。

具体的な事実が、なかなか出てこないとき。

それは、文章力の問題ではなく、「その部下を、日々どれだけ見てこられたか」が、
そのまま表れているのかもしれません。

だから、事実を書き出す作業は、評価文を作る前に、自分の"見てきた度合い"を、
そっと確かめる時間でもあるんです。そこを通り抜けた評価だけが、部下に「見てくれていた」と届きます。

今日からできる、小さな一歩

やることは、たった一つ。

AIに整えてもらう"前"に、自分のメモとして、事実を一〜二個だけ書き出す。
「この半期で、印象に残った、その人の具体的な行動」

たとえば、

決算期の繁忙で、後輩の資料作成を自主的に手伝っていた。

この"事実の一行"を書いてから、AIにこう頼みます。

この事実をもとに、評価コメントを整えて。ただし、この具体的な行動は、必ず残して。

整えるのは、AIでいい。でも、"何を見て評価したか"の芯は、自分が握る。
それだけで、同じ丁寧さでも、「ちゃんと見てくれていた」と伝わる評価に変わります。

  • これまで:
    「評価コメント書いて」
    → 一般的な美辞麗句
    → 面談で「具体的には?」に詰まる
    → 見ていなかったことが、伝わってしまう。

  • これから:
    印象に残った事実を、自分で一〜二個 → AIに言葉を整えてもらう
    → 「その場面を、見てくれていたんだ」と届く。

"通り一遍の評価"が、"本人に響く評価"に変わります。

ただ、ここで次の壁が出てきます。

印象に強く残った一件なら、書き出せる。でも、評価は、全部下ぶん、いくつもの項目で必要です。

「なんとなく、頑張っていた」

その"なんとなく"を、どの場面がそう思わせたのか、まで遡って言葉にする。
この事実の拾い上げこそ、評価の時期に、いちばん手こずるところなんです。

「日々のどの場面を、評価の根拠にすればいいのか」

いざやってみると、ここで手が止まる人がほとんどです。

印象では覚えているのに、うまく言葉にできない。
しかも、事実を評価につなげる目は、一度で身につくものでもない。
くり返すうちに、だんだん磨かれていくものだからです。

だからこそ、最初の"拾い方・つなげ方"を、人を育ててきた立場と一緒に整理してしまうのが、いちばんの近道です。

私は人財育成に20年、官公庁や大手企業を中心に、のべ3,000名以上の指導に携わってきました。
"その人の何を見て、どう言葉にして返すか"——それを、ずっと積み重ねてきた仕事です。

30分の無料相談では、いま書いている評価を一つ持ってきてもらえれば、
その場で「その部下の、どの場面を根拠にするか」を一緒に拾い上げて、本人に響く具体的なコメントに整えます。

そのまま面談で使える形で、持ち帰れます。

相談だけで終えても大丈夫。そこは安心してください。

一日の終わりに、「これで合ってるのかな」と抱える時間、そろそろ手放してみませんか。

生成AIのモヤモヤを、実務目線で整理したい方はこちら:
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にっしーが、あなたの状況に合わせて、一緒に整理していきます。