「念のため」残したコメントアウトが、コードを読みにくくしている
使わなくなったコードを、消さずにコメントアウトして残しておく。「あとで戻すかもしれないから」「消すのが怖いから」という理由で、やったことがある人も多い書き方だと思います。
でも、Git でコミットしながら進めているなら、その「念のため」は消してしまってかまいません。コミットした時点の古いコードは、Git の履歴にちゃんと残っているからです。
例のコードと Git の操作は、Git 2.54 で実際に試して確認しました。
コメントアウトを残すと、何が困るのか
たとえば、税込み価格を計算する関数を、税率を受け取れる形に直したとします。
export function calcPrice(price, rate) {
// return Math.floor(price * 1.1);
return Math.floor(price * (100 + rate) / 100);
}
1行だけなら害はなさそうに見えます。ただ、これが積み重なると困ることが出てきます。
- 読む人が迷う:「この行はまた使うの? 消し忘れ?」と、そのたびに立ち止まることになる
- 本物と食い違っていく:周りのコードが変わっても、コメントの中は直されない。いつの間にか、今のコードとは合わない古い書き方が残る
- 検索で引っかかる:関数名で検索したとき、使われていないコメントの中まで結果に出てくる
AI にコードを読ませるときも、コメントアウトされた古い書き方まで一緒に読ませることになります。どちらが今のやり方なのか、読む側(人もAIも)が判断しないといけない材料が増えるということです。
消しても、Git から取り戻せる
コメントアウトした行を消してコミットしても、コミットしたときの版は Git が全部覚えています。古いコードを探したくなったら、残っていそうな文字で履歴を検索します。
git log -S "price * 1.1" --oneline
# 0aaeffe コメントアウトを削除
# 5b664d8 税込計算を追加
-S の後ろに書いた文字が、増えたり減ったりしたコミットが一覧で出ます。真ん中の「税率を引数にしてコメントアウトしたコミット」が出てこないのは、price * 1.1 という文字がコメントの中に残っていて、出てくる回数が変わっていないからです。
見つけたコミットの時点のファイルは、こう表示できます。
git show 5b664d8:price.js
export function calcPrice(price) {
return Math.floor(price * 1.1);
}
5b664d8 の部分は、さっきの一覧の左に出た英数字(コミットごとの番号)に置き換えてください。番号は人によって違います。ファイル名は、プロジェクトの一番上からの場所で書きます(例: src/lib/price.js)。
「消したら二度と戻せない」と感じるのは自然なことです。ただ、コミットしてあれば、古いコードを取っておく役目はもう Git が引き受けてくれています。
コメントアウトのまま置いておく意味があるとき
全部を一律に消す必要はありません。次のような場面なら、コメントアウトで残しておくのもありです。
- 今まさに試している途中で、その日のうちに戻すかもしれない(区切りがついたら消す)
- まだ Git でコミットしていない(まずはコミットする習慣から)
消すと理由が分からなくなる場合は、古いコードを残す代わりに「なぜそうしたか」を1行のコメントで書いておきます(例:「A ではなく B にした。A だと〇〇が起きるため」)。
逆に言えば、「なんとなく不安だから」だけで残しているコメントアウトは、消していい候補です。
消すときに確かめること
消す前と、消したあとコミットする前に、1つずつ確かめておくと安心です。
git status # 消す前:今の状態がコミット済みか(未コミットの変更が残っていないか)
# ↓ ここでコメントアウトの行を消す
git diff # 消したあと:消えたのがコメントアウトの行だけになっているか
AI に「使っていないコメントアウトを整理して」と頼むこともできます。そのときも、消える行が本当に使っていないコードだけかを git diff で見てからコミットします。何を残して何を消すかを自分で決められるようになると、AI が整えたコードを受け取るときの判断も速くなります。
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