前の前の記事で、日本に制作会社は17,000あると書きました。

では、正社員やアルバイトでWebデザイナーになりたい人は、この17,000の会社の中のどれかに勤めるのしかないのでしょうか?

実を言うと、それはちょっと違います。世の中には、事業会社と言って、Web制作を事業とはせず、別の事業をやっていながら、社内にWeb制作の部署を持っている会社があります。

このような職種のことをインハウスと言います。


元々は、Webに限らないのですが、クリエイティブ関連の部署を自社に置くというのは特に珍しい話ではありません。資生堂とかサントリーとか日本テレビとかは、宣伝広告物を作るためのクリエイター部署を自社に持っています。

これをインハウスと呼んでいたのですが、今では自社のWebサイトを管理する部署で働くWebデザイナーやディレクターのことをインハウスWebデザイナーとか、インハウスのディレクターなどと呼称したりします。

インハウスの仕事と制作会社の仕事の違い

インハウスの方が楽、という話があります。それは比較的納期に縛られない、と思われているからです。実際そういう企業もあると思いますが、私が道路旅客運送業のインハウスをやってた時は、キャンペーンに間に合わせないといけないプレッシャーや、業務提携のプレスリリースまでにローンチさせないと他社に迷惑がかかる、みたいなプレッシャーもあり、納期がゆるいとは決していえませんでした。

ただ、それ以外は比較的緩いところがあったのも事実です。制作会社は、成果物を決められた期間内に納品してお金をいただくので、常に忙しいのですが、インハウスはお金に縛られないゆるさ、みたいなものはどこかありましたね。(会社によると思いますが)

あと、インハウスは自社の案件しかしないので、作るデザインがワンパターンだったり、そもそも自分が手がけたい仕事にありつけなかったりします…(例えば、B2Bの仕事したいのに、B2Cのインハウスに入ったらB2Bの仕事できないですよね?)

なので、インハウスは楽、っていうイメージだけでインハウスを選んでしまうと、失敗する人は多いと思います(私も色々やりたいクチだったので、1年ちょっとで辞めてしまいました…)

インハウスは経験の浅い人の採用に寛容?

これも会社によるのですが、経験浅い人は、インハウスでの就業を狙うのはアリかもしれません。

と言うのも、インハウスで採用をしようとする企業は、自社でECサイトをやっていることが多いです。つまり、サイト=ビジネスの重要な収益となります。なので、採用にも積極的です。

次に、自社のECサイトは、そんなしょっちゅうリニューアルをしません。一度リニューアルすると、3年から5年はそのデザインを使い続けます。しかし、ECサイトは商品の入れ替えであったり、特集ページを作ったり(母の日特集とかクリスマス特集とかああいうの)する必要があります。業界では、こういった業務を「更新」と呼んでいます。

更新を制作会社に頼んでいると、コストがかかったり、スピード感が出せなかったりするので、自社で更新した方が良いケースが多いのです(コストかかっても制作会社に頼むケースもあります)。

で、更新というのは、比較的スキルが低くても成立する業務です。

  • バナーが作成できるグラフィック力(ただし、売れるデザインでないとダメ)
  • 最低限のHTML/CSS力(ただし、体裁崩れはダメ)

の力があれば、採用の可能性は十分あります。

模写やProgateでデザインやコーディング力がしっかりついたと思ったら、インハウスの求人を狙うのもオススメです。


次回は、採用側から見た、Webデザイナーの理想的なキャリアの積み方について、語りたいと思います。