まず、インデックス投資の流れとは

投資家の立場から、インデックス投資を始める場合、概ね、下記のような流れをたどることになります。

  1. 自分自身の金融資産の残高や、リスクに対する考え等を参考に、自身のリスク許容度を、客観的に診断する

  2. 自分自身のリスク許容度の範囲内に値動き(ボラティリティ)が収まるように、複数の資産クラスを組み合わせた、アセットアロケーションを作成する

  3. アセットクラスごとに、どのようなインデックスを投資対象として用いるのかを検討する

  4. 投資対象とするインデックスごとに、どの投資信託を用いて、実際の投資を行うのかを検討する

  5. 最初のインデックスファンドの買い付けを行う。合わせて、毎月の積み立て投資の設定を行う

  6. ポートフォリオの状況に応じて、適宜、リバランスを行う。

インデックス投資のメリットは

インデックス投資には、特に個人投資家にとって、いくつかメリットがありますが、その代表的なものとしては、下記のようなものがあります。

コストが安い

例えば、個人投資家が、株式投資を行う場合、株価や、その銘柄の最低取得単位によっては、数十万円単位の初期投資が必要となります。
この点、インデックス投資であれば、100円程度の小額から、買い付けや、自動積み立て投資の設定を行えます。
また、投資信託を用いて投資を行う場合、投資信託の運用会社に、運用手数料(信託報酬)を支払う必要がありますが、その料率も、アクティブファンドの場合と比較すると、インデックス投資向けのパッシブファンドは、極めて廉価です。
その他、金融庁のつみたてNISA等の長期投資支援制度を活用できるのも、インデックス投資の利点と言えます。

手間ひまが削減できる

個別の株式銘柄に投資する場合、まずは、銘柄選定が必要です。
例えば対象を国内株に絞るだけでも、東証一部に上場している全ての株式銘柄の中から、自分の投資目的に見合った株式銘柄を選択するのは大変な作業です。
また、一旦株式銘柄の選定が終わった後も、その銘柄をいつ、どのような価格で買いつけるのか、については、慎重な検討が必要です。
さらに、株式の保有期間中も、何か悪材料が発生したときに、自分だけに逃げ遅れていないか、などと、戦々恐々とした毎日を過ごすこととなります。
特に会社員の場合は、本業の就業時間中に、どうしても株式投資のことが気になってしまって、仕事に手がつかない、などと言う弊害も起こりやすいのがデメリットです。

その点、インデックス投資の場合、一旦インデックスファンドの買い付けをスタートすれば、後は長期保有が前提となりますので、短期売買を行うために、日夜ディスプレーとにらめっこをするような必要ありません。
また、インデックス投資自体、株式市場全体の平均値を購入するような仕組みとなりますので、面倒な株式銘柄の剪定作業は、原理的に必要ありません。

個別の株式銘柄投資よりもリスクが低い

インデックス投資の場合、投資信託を通じて、場合によっては数千銘柄以上の株式銘柄に、資金を分散投資します。
個別の株式銘柄に対して少数の投資を行っている場合、仮に、保有中の企業に不祥事等が起きると、保有していた株式の株価が急落してしまうリスクがありますが、インデックス投資において、投資信託を通じて、数千もの銘柄に分散投資をしておけば、個別の株式銘柄ごとの保有比率は、ポートフォリオ全体の数%以下にとどまります。
仮に何か保有中の企業に不祥事が生じたとしても、その出来事が、ポートフォリオ全体に対して与える影響は、極めて軽微となります。
また、定期的な積立投資により、投資信託の高値掴みのリスクを軽減できるのも、特徴のひとつです。
一般的な既存投資家の投資予算としては、毎月10万円ずつ、インデックス・ファンドを取得するようなケースが通常のようです。

資産クラス同士の間の分散投資もできる

インデックス投資の最大の魅力の1つが、数本の投資信託を保有するか、ないしは、バランス型の投資信託を利用することで、一般の個人投資家でも気軽に、複数の資産クラスにまたがって分散投資を行うことができる、と言う点です。

特に、値動きがお互いに逆行する傾向の強い複数の資産クラスに対して、資金を分散投資することで、違いの相関係数の低さから、ポートフォリオ全体のリスクを、ある程度低くコントロールすることができます。

例えば、公的年金の運用を行うGPIFの場合も、こうした仕組みを活用して、外国株式や国内株式、外国債券や国内債券、といった複数の資産に、資金を分散投資することで、一定の利回りを追求しつつも、リスクを低くコントロールしています。
なお、こうしたリスク分散の手法は、現代ポートフォリオ理論を踏襲した内容とされています。