合気道家のための基礎鍛錬法カリキュラムについての質問・相談をお受けしています
できること
合気道家のための基礎鍛錬法(一人稽古用)
はじめに:
あなたは、相手に腕をガッチリ持たれて動けなくなったり、打撃・突き・蹴りなどで攻撃されたときに捌けなかったことはありませんか。もし、あるならば、なぜだと思いますか?
私の経験および私の師匠の教えから言えることは、合気道の技以前に「基礎力」が不足していることが原因であると考えられます。それらは、主に平常心、基本剣法、呼吸力、入身当、転換、拳固め、運足などです。それら「基礎力」を養成するための基礎鍛錬法カリキュラムを考案しましたので、それを見て意気に感じた方は実践してみてください。毎日行えば、3ヶ月経った辺りから基礎力がついてきて、技のキレや動きの円滑さなどの変化を感じ始めることでしょう。毎日継続することが肝心です。1年もやれば、道場での稽古においてゾーンに入ることも経験できるでしょう。
ここで、基礎鍛錬に関連する興味深い話を二つ紹介します。ひとつは、私の高校柔道部の後輩の体験談です。彼は高校卒業後、専門学校に行き、そこの山岳部(ロッククライミング)に入り、彼自身危ない経験をし、また目の前で先輩が滑落して死亡した経験もしました。彼は数年そのような岩登りをしていましたが、その間、柔道は全然やっていませんでした。ある時柔道初段の彼が力試しに講道館恒例の勝ち抜き試合に出場しました。そして十数人抜きをして即日三段に昇段しました。数年間、柔道を全くしていなかったその後輩がなぜそのようなことができたのか。考察するに、ロッククライミングという命がけの行為が彼に度胸・肚や平常心、スタミナをつけさせた。そして、岩登りという過酷な身体運動が彼の手・脚・腰を強化した、つまり山岳部での活動が彼の柔道家としての基礎力を培った。そして、技は中学高校の柔道部での6年間である程度身についていた。その結果、数年間全くやっていなかった柔道なのに十数人も勝ち抜くことができたのではないかと考えます。ポイントは基礎鍛錬による「基礎力」の獲得です。
もう一つの基礎鍛錬に関連する興味深い話は、私事で恐縮ですが、私自身の合気道についての体験談です。私は、植芝盛平翁の戦前の内弟子であった師範の道場に入門し、週4日毎回2時間の道場稽古以外に、基礎鍛錬を中心とした一人稽古を毎日数時間行っていました。その結果、入門一年後に初段を飛び越して推薦で二段を授与され、その後さらに過激な一人稽古を重ねた結果、道場稽古では頻繁にゾーンに入った状態になり、技がキレ、体が思い通りに動き、傍で見ていた師範にもかなり驚異的な現象に見えたと思われます。その結果、二段を習得した9ヶ月後に三段を推薦で授与することになりました。ですから、入門して1年9ヶ月後に三段に昇段したことになります。聞いたところによると私のようなケースはちょっと特殊であるとのことです。同時期に入門した他の道場生との違いは、基礎鍛錬の一人稽古をやっているか否かだと思います。それも毎日2時間から3時間の一人稽古です。この恐るべき基礎鍛錬の凄さに我ながら驚嘆しました。特に、徹底した基礎鍛錬によってゾーンに頻繁に入ることができるようになったことです。ゾーンとは集中力が非常に高まり、周りの景色や音などが意識の外に排除され、自分の感覚だけが研ぎ澄まされ、活動に没頭できる特殊な意識状態を指します。その際には、取り組んでいることに没頭し、驚異的な集中力で予想以上の結果を出すことが可能になると考えられます。
ですので、是非、合気道家の方で、まだ満足のゆく結果に至っていない方は今一度ご自分の稽古に「基礎鍛錬」が足りているのかどうかを下記のカキュラムをご覧になられて検討されてみてはいかがでしょうか。
基礎鍛錬法カリキュラム:
0 坐禅(瞑想)
1 基本剣法
2 呼吸力養成法
3 入身当
4 拳固め
5 転換
6 運足
7 やわらげ
8 あまつかぜ
9 調息法
解説:以下、カリキュラムの各項目ついての意義と方法を述べます。
0 坐禅(瞑想)
【意義】
合気道は武道です。武道の本質は「武技を用いて命のやり取りである」と私は考えます。そこにおいては、平常心を養うことが必須です。それは坐禅(瞑想)を通して身につけることができます。
【方法】
坐禅(瞑想)にもさまざまなやり方がありますが、ここでは最もスタンダードで誰でもやりやすい「呼吸瞑想」をご紹介します。
座り方:
結跏趺坐、半跏趺坐、正座のうちのいずれかで行います。
意識の向け方:
肩の力を抜いてリラックスし、目は閉じるか半眼にします。ゆったりと自然なペースで呼吸をし、意識を呼吸だけに向けます。
呼吸の仕方:
腹式呼吸(息を吸うときにお腹を膨らませ、息を吐くときにお腹を萎ませる)を行います。
瞑想をする場所:
瞑想をする場所はどこでも構いません。最初はリラックスしやすい場所・人の声や物音が少ない、気が散りにくい場所が良いでしょう。慣れてくると、オフィスの自席や電車の中などでもできるようになります。
最初は5分から、毎日続けることが大事:
呼吸に意識を向け続けるというのは想像以上に大変です。「最初のうちは5分やるのも精一杯」という方がほとんどですが、 毎日少しずつでも続けることに意味があります。続けるうちに、意識の向かう先をコントロールすることがだんだん楽にで きるようになるはずです。最初は1回5分から。最終的には30分程度出来るようになれると良いでしょう。なお、瞑想を始めたからといってすぐに何か大きなメンタルの変化が訪れるわけではありません。しかし、1回5分を1日に何度か行い、それを2ヶ月程度継続すれば「集中力が上がっ た」「感情のコントロールをしやすくなった」「ここぞというときに頭がさえるようになった」「適切な状況判断ができるようになった」等の変化を実感する方が多いようです。
途中で意識が逸れてしまってもOK!:
瞑想と言うと「頭を空っぽにしないといけない」「無になれないとダメ」と思っている方は多いかもしれません。でもこれは誤解です。物音に気を取られて意識が逸れてしまったり、何かを思い出したり、考えが浮かんできたりするのは仕方のないことです。「あ~ 今他のことを考えちゃった!」と終わりにしたり、 集中できていないなと判断したりせず、「あ、意識が逸れたな」と認識し(気づき)、呼吸に意識を戻せばOKです。
1 基本剣法
【意義】
「合気道は剣の理合から来ている」と私の合気道の師匠は言われ、入門初日から木刀を持たされて、基本剣法を教えられました。その当時は、意味も分からず木刀や居合刀を振っていましたが、時が経つに従い、師匠の言った意味が頭ではなく体でわかるようになりました。ここで思い出すのが、ブルース・リーの有名な言葉「Don’t think, feel!(考えるな、感じろ!)」です。ですので、皆さんも身体感覚を研ぎ澄まし、基本剣法の稽古をしっかり行っていただきたいと思います。但し、初期の段階では、技を理論的に理解することも大切だと思います。また、この基本剣法の身体動作は、経絡理論に則ったものですので気が全身を巡り、稽古後は体が軽く感じ、とても清々しい気分になります。故に、健康法としても是非お勧めします。
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