上司に提出する企画書を、AIに手伝ってもらう。
出てきた文章は、なかなか立派。言葉づかいも整っていて、それらしい。

「お、これでいけそうだ」

ほとんど手を入れずに、そのまま提出する。ところが、上司から質問が飛んでくる。

「この"相乗効果"って、具体的にどういうこと?」
——うっ、と詰まる。そこ、自分の言葉じゃないから、すぐに説明できない。
きれいな文章のはずが、自分の中身が入っていなかった。

その場は何とか取り繕ったけれど、席に戻ってからも、あの詰まった数秒が頭から離れない。

こんなヒヤッと、心当たりありませんか?

「立派だから、そのまま出す」の落とし穴

これは、AIの出力に満足できた人ほど起きます。

返ってきた文章が、あまりに整っている。だから、直すところが見当たらない。
「これ以上、自分がいじる必要はないな」そう思って、そのまま出してしまう。

でも、整った文章と、自分が理解している文章は、別ものです。AIの言葉は、あくまで"借りもの"。
「抜本的に見直す」「横断的に連携する」それっぽいけれど、聞かれたら中身を答えられない言葉が、
しれっと混ざっている。

借りたまま出すと、見た目は立派でも、中身の裏づけは、自分の中にありません。だから、いざ突っ込まれると答えられない。その一言で、「分かって書いていない」ことが、相手に伝わってしまう。

怖いのは、これが信頼に関わることです。
管理職やリーダーが出す文書は、「この人が、責任を持って言っている」という前提で読まれます。
その中身を説明できないと、文章の立派さごと、軽くなってしまうんです。

ズレているのは、「仕上げ」を出力で終わりにしていること

ここで、AIに頼ったのが悪いわけでは決してありません。たたき台を作らせるのは、うまい使い方です。

ズレているとすれば、AIが出したところを"ゴール"にしていること。

本当は、AIの出力は、まだ半分。残りの半分は、「それを自分のものにする」工程です。
出てきた文章を、上から読み直して、「これ、自分の言葉で説明できるか?」と問い直す。
説明できない部分は、自分の言葉に置き換える。

この一手間を通して初めて、借りものの文章が、"あなたの意見"になります。

AIに書かせて終わりではなく、AIに下書きさせて、自分が引き取る。
この最後のひと工程が、出した文書の重みを、まるごと変えます。

説明できないのは、表現ではなく「理解」の問題

そして、もう一つ。

自分の言葉で説明できないとき、それは表現の問題ではありません。
「その中身を、自分がまだ分かっていない」というサインです。

だから、借りものを自分の言葉に直す作業は、文章を直しているのではなく、"自分の理解の穴"を見つけている。この一手間は、体裁を整えるためではなく、自分が本当に分かっているかを検算するためのものなんです。

今日からできる、小さな一歩

やることは、たった一つ。
提出する前に、声に出して一度、読んでみる。そして、引っかかった言葉に印をつける。

  • 「この単語、自分ならこう言わないな」
  • 「ここ、聞かれたら答えられないな」

そう感じたところが、"借りもののまま"の部分です。
その一箇所だけでいいので、AIの言い回しを消して、自分の言葉で書き直してみる。

たとえば、

  • 「相乗効果が見込めます」
    →「A課の顧客リストを、B課の提案にも使えます」

自分の言葉に直した瞬間、その部分は、聞かれても、もう詰まりません。

  • これまで:
    立派な文章を、そのまま提出
    → 突っ込まれて詰まる
    → 中身がないと伝わる。

  • これから:
    声に出して読み、借りものを一つ書き直す
    → 「これはこういう意味です」と即答できる
    → 自分の言葉として、受け取ってもらえる。

"AIが書いた企画書"が、"自分の企画書"に変わります。

ただ、ここで次の壁が出てきます。

借りもの語を消すのは簡単。でも、自分の言葉に直したら、今度は妙に稚拙になってしまう。
"きちんとした文章の格"は保ったまま、"自分が説明できる中身"に着地させる。
この塩梅こそ、一度やっただけでは、なかなか掴めないところです。

「どこまでが自分の言葉で、どこからが借りものか」

いざやってみると、ここで手が止まる人がほとんどです。

借りものと自分の言葉の線引きも、直したら稚拙にならないかの見極めも、ひとりだと気づきにくい。
AIの下書きを自分のものにする感覚は、くり返すうちに、だんだんつかめてくるものだからです。

だからこそ、最初のうちを一緒に見てしまうのが、いちばんの近道です。

私は人財育成に20年、官公庁や大手企業を中心に、のべ3,000名以上の
「独学のAI活用を、仕事で使える形に整える」お手伝いをしてきました。
責任ある立場で文書を出す難しさも、数多く見てきています。

30分の無料相談では、あなたが実際に出す予定の文書を一つ持ってきてもらえれば、
その場で「どこが借りもので、どう自分の言葉に直すと"聞かれても詰まらない"状態になるか」を、
一緒に見ます。 直したその文書を、そのまま提出できます。

相談だけで終えても大丈夫。そこは安心してください。
一人で「これで合ってるのかな」と抱える時間、そろそろ終わりにしませんか。

生成AIのモヤモヤを、実務目線で整理したい方はこちら:
https://menta.work/plan/21044

にっしーが、あなたの状況に合わせて、一緒に整理していきます。