「良い人が採用できない」場合に、よくある原因は以下2つです。
A:採用体制が不十分
B:青い鳥症候群=採用力(知名度・企業ブランド・募集ポジションの魅力等)に見合わない、高い採用基準を設定している。

Aには単に担当者が何名か、といった人員のみならず、そもそもの採用戦略・人事戦略不足等も含みます。
そのため、順を追って採用体制を整えていきましょう。
まず事業インパクトへ最大限に貢献しつつ、最小限の人員・コストとなる採用戦略を各社毎に見極めます。ここから始めて、採用を効果的に進めるために必要な、関連する人事機能(評価制度等)と共に立ち上げを支援します。
「応募者の面接日程調整」といった、一見ただの事務作業で誰が行っても採用実績にあまり差が出ないような業務ですら、単に「早くやる」以外に、結果に影響する様々なノウハウが存在します。スピードは意識しつつ、これらを踏まえて個々の工程をきちんと設計していくことが肝要です。

Bならば採用基準を引き下げ採用できる範囲で採用していく、、、は現実問題として通らない場合が多いので、以下3つが主な解決策になります。
B-1:社員ではなく業務委託で優秀な方々へ依頼すること
B-2:採用力を高めるような人事制度改定
B-3:”捨てる要素と引き算”を見極めた、適切なペルソナ・ターゲット設計

B-1について。
「採用力が不十分な状態のため採用基準には満たない人材」ではあるものの「当面の業務は最低限任せられそうだからと採用した人材」が、
ビジネスが成長して業務が高度になった際はもちろん、
それ以前の時期においても十分な成果を出せず本人も周囲も不幸、
は人事ポジションに限らず様々な職種でよくある事態です。
しかし、起こる前提で対策しておけば、回避できる事態でもあります。

こういった事態に備えて、雇用契約に固執せず、業務委託契約にて十分な業務品質を担保できる人材を迅速に揃えるほうが、採用力が高い状態≒ビジネスが成長した状態をいち早く実現する等のために、遥かに賢明な選択です。

もちろん、「採用力はあるものの、巡り合わせの問題で適切な人材を採用するまでに時間がかかる場合に、社員入社までの期間の業務を担当してもらい”空白期間”を最小限にしたい」という場合にも有効な選択です。社員よりも業務委託人材のほうが1時間単価は高い場合でも、この選択によるリターンがコストを上回ります。(そもそも、そういったビジネスモデルや事業運営で無ければ、スケールさせるどころか現状維持も厳しいです)

このように、採用力が高まって採用基準を上回る人材を一定のスピードで採用できるようになるまで、社員と業務委託人材を組み合わせたチームで当面の業務を遂行していきます。その前提で、事業戦略や組織構想等から当面の採用人数・スペック・採用経路等を特定することから開始します。以降も効果的かつ効率的な採用活動に近づくよう、ハンズオンで支援します。

B-2について。
採用力を高めよとうとして最もやりがちなことは、
「エージェントや採用募集媒体を増やして、採用接点や応募者をとにかく増やそうとすること」です。既存のエージェントや媒体がごく少数の場合を除いて、以下の理由から残念ながらこの方法では採用力は殆ど高まりません。
・そもそもの魅力が低いために、
 従来以上の母集団形成・応募者増加に繋がりづらいため
・そもそもの魅力が低いために、
 母集団・応募者は増えても優秀な人材は応募しなかったりオファーを辞退したりするため

例えるならば「穴のあいたバケツ・小さなバケツで、海から水(応募者)を掬ってプール(選考ステップ)に貯めようとしている」状態です。これでは水は効率的には貯まりません。そこでバケツの穴を塞いだり大きなバケツに交換したりするように、人事制度を改定したり運用を変えたりして応募者・将来の社員候補視点での、「御社の魅力を本質的に高める施策」に重点を置くべきです。

「御社の魅力を本質的に高める施策」にはリモートワークやスーパーフレックス(コアタイムなしのフレックスタイム制)も含まれます。御社ではどのような状況でしょうか。優秀な人材ほど転職先の選択肢が多くなります。そして、転職先の決定打はしばしばこういった「柔軟な働き方の有無・多寡」となります。新型コロナウイルス感染状況が深刻化するほど、この傾向は高まります。様々な転職者アンケートはもちろんのこと、個人の肌感覚としても同感です。一方で、各社での対応・導入に差が開いている項目でもあります。

採用における訴求項目の概要は以下です。いずれも差別化が困難です。そのため、「採用における競合他社と差別化しやすい項目」=「柔軟な働き方の有無・多寡」にこそ、採用力を改善する余地がまだ潜んでいます。

・年収:「全社業績や評価のさじ加減・上司との相性で大きく左右されること」や「一定額以上は仕事のモチベーションとなりづらいこと」を、優秀な方ほど理解しています。そのため、年収の高さは必要条件ではあっても十分条件ではありません。
・働きがいや社風:各社が既に注力しているので、差別化しづらい項目です。
・スキルや経験が活きる、成長できる、企業の将来性等:具体的に差別化しづらい項目です。
(もちろん、御社がこれらの「どの会社も当然のように訴求している項目」について、応募者やエージェントへ訴求しきれていない場合は、訴求点と訴求方法を深めて訴求していかねばならないことは言うまでもありません)

「リモートワークやフルフレックスなんて当社には到底無理」、、、そんな声が聞こえてきそうです。導入していない企業が、特に準備・対策せずに導入した場合は、良い結果にならない可能性が高いです。そのためきちんとした準備・対策が別途必要になります。こうして見てくると、「採用を本質的に改善することは、人事や経営を本質的に改善すること」だとお分かり頂けることと思います。そのため、この点を理解頂いている方には、採用の改善であっても採用に加えて組織開発・人材開発・人事制度企画等にも対応できるコンサルタントへ依頼する価値もまた、お分かり頂けることと思います。

B-3について。
B-1・B-2と期待できる効果と工数が共に必要な内容でしたので、最後にもう少し、軽量・迅速な解決策に言及しておきます。
「オールマイティでどの要素もとても優秀」のような理想的な、
しかし採用成功率が非常に低い人材ではなく、
適切なペルソナやターゲットを設定し直して、採用活動を仕切り直しましょう。というのも「人当たりが良くて、地頭力も企画経験もバッチリ。しかも若くて転職回数が少なくて希望年収もほどほど」といった、「そりゃあ大抵の会社ではすぐに内定を出したがるでしょう」といった人材を、
採用力が高くはなくとも真剣に採用ターゲットに据えている結果、いつまでも採用できないケースがままあるためです。見極めを慎重に行う場合等、採用期間が長くなることは一概に否定するべきことではありません。しかし、果たして採用に時間がかかってもそこまでの人材でなければそのポジションを任せられないかどうか、職務設計・ポジション設計から改めて検討し、
ペルソナやターゲットを少し修正するだけでも採用を改善できることがあります。

以上は以下で執筆した記事の一部です。
上記以外の課題認識もあります際にご覧頂き、何がしか参考になりましたら幸いです。
https://note.com/no_te_/n/nb7a3940dd08e