市場性で決める給与の仕組み(書籍:チームのことだけ、考えた/サイボウズ 青野さん)
書籍:チームのことだけ、考えたからの学び
給与制度とはそもそも何のためにあるか?
- 社員にどう働いてほしいのか?という組織の意思が反映されたもの
- 評価基準のパターン:時間(長く働いた人)、成果(大きな成果を上げた人)、責務(職責が重い人)、長期的貢献(勤続年数が長い人)
サイボウズが失敗したと捉えた給与制度
- 成果主義
- 半年後などの目標をたてる
- 目標達成の度合いに応じて給与を決める
課題:目標の決め方によって評価が変わってしまい、低い目標を設定した人が得をする。
- 成果+社内の定性評価
- 標達成度+事業部長クラスのメンバーによる投票も加味する。
- 納得感を出すために、360度評価も取り入れた。
課題:他部署の評価を伝えたら、逆に納得感が下がった。
解決策:社内の公平性ではなく社外を含めた市場性
そもそもの気付き
- どのような基準で評価しても、その基準は誰かにとって有利であり、誰かにとって不利である。
- 大事なのは公平性ではなく、メンバーがミッションに向かって毎日楽しく働くことである。
- 給与の配分はそれを実現するための手段に過ぎない。
多様性のある組織における給与制度
- 多様性のある組織だから、長時間働く人、短時間で働く人がいる。オフィスで働く人もいれば、在宅で働く人もいる。みんなで補完関係を作っているからチームワークが成り立っている。
- 社外に目を向けて考えたのが、「市場性」という考え方。それは、対象の社員が会社を辞めたらいくらの給与をもらえるのか?という視点。
- 人事部のメンバーや各部内のマネージャーは、中途入社を希望する人と日々面談をしている。どのような人がどの会社でいくらの給料をもらっているかを知っている。こういった基準を社内に適用するという制度
市場性における影響
経営者や人事部への影響
- 転職先でサイボウズよりも高い給与をもらう自信がある社員は遠慮なく交渉する。
- 実力者への転職を防止するために、他社に引き抜かれない給与を提示するとともに、給与以外に与えられる報酬にも目を向けなければならない。たとえば、希望する業務や権限であったり、業務を通じて得られるスキルや人脈など。
社員への影響
- 会社に長らく貢献してきましたでは、高く評価されないことになる。
- 転職時にアピールできるようなスキルや実績を増やし、自分の市場価値を高めなければ、給与はあがりにくいからだ。
- これは社員の経済的な自立意識を促すことにも繋がる。もし会社員が給与を下げることなく転職できる状態であれば、いつサイボウズが潰れても生活に困ることはない。
いつでも転職できるのに、あえてサイボウズで働き続けたいと言ってくれる。この状態が理想だと考えた。