PHP入門第1章『PHPとは』
PHPとは
PHPは初心者にとって比較的学びやすい言語と言われています。その一番の理由としてはやはり「利用者が多い」ことが挙げらるでしょう。利用者が多いということは、それだけネット上の情報が豊富だったり、良い書籍に出会える機会が多い、とも言えます。
HTMLとの親和性が高いのも特徴です。PHPはもともと動的なWebサイトを作成するために生まれた言語で、今では多くのWebサイトで使用されています。特に、世界中のWebサイトの約 30% 近くで採用されていると言われる Wordpress というCMSは、PHPで作られているのです。
この裾野の広さがPHPを学ぶ最大のメリットです。
PHPの特徴
- Webに特化されたプログラミング言語で、HTMLやCSSとの親和性が高い。
- 簡易な記述で実行できるスクリプト言語で、ソースコードを逐次解釈しながら実行する。
- サーバーサイドで動作し、多くのレンタルサーバーで最初から使えるように設定されている。
- 現在の最新バージョンはPHP8(2021年11月時点)で、本格的なオブジェクト指向プログラミングにも対応している。
- PHPは利用者が多く、それに付随して案件数も比較的多い。
- 高性能PHPフレームワーク Laravel の登場により、PHP人気はまだまだ続きそう。
学習の方針
本コース「PHP入門」では、PHPの基本的な使い方や主要な文法を習得することを目的とします。
全てを網羅的かつ詳細に取り上げるのではなく、使用頻度の高い文法を優先的にわかりやすく紹介していきます。テンポよく学習が進捗することが大切だと考えています。
本コースでは基本的に、開発コンソールでPHPファイルを実行し、また、実行結果についてもそこで確認をします。
本コースを終了することで、PHPに限らず多くのプログラミング言語についても、比較的容易に理解できるようになることでしょう。どの言語も基本的な部分はだいたい同じです。記述方法が少しづつ違っていて、向き不向きや用途が異なるだけなのです。
学習環境の準備
使用するテキストエディタは、Microsoft社が提供しているVisual Studio Codeをおすすめします。Windows版・Mac版どちらもあります。
これ以外にも優れたエディタはたくさんありますので、ご自身にあったものをご用意ください。
尚、Windows付属のメモ帳は文字化けが起きたりしてプログラミングには向いていません。必ず専用のコードエディタを使うようにしましょう。優れたツールを積極的に使うことは、プログラマに必須の素養です。
PHP環境の構築
ご自身のPCにはPHPの実行環境がまだない状態かもしれません。環境構築は大変な作業になりますが、これがなければ学習を始められません。
Windowsの場合はXAMPPを導入するとスムーズでしょう。
Macの場合はパッケージ管理ツール「Homebrew」を使ってターミナルからインストールしていく手順になるかと思います。
いずれのケースでも、もしも難しい場合はお気軽にご相談ください。筆者がMentaにてサポートしております。
環境が整ったら、さっそくPHPの学習に入っていきます。
ターミナルの操作
PHPのコードを書いてそれを実行するには、もう少し準備が必要です。ターミナルからいくつかのLinuxコマンドを使って命令することになります。コマンドをある程度使えるようになっておきましょう。
よく使用するコマンドは以下の5つです。
- cd(フォルダを移動する)
- ls(ファイルやフォルダの一覧を見る)
- pwd (現在地を確認する)
最低限上記3つは覚えて下さい。使い方は入門者向けの解説サイトを参考にすると良いでしょう。
学習用フォルダの作成
まず最初に、学習用のフォルダを作成しておきましょう。場所はどこでも構いませんが、アクセスしやすいデスクトップが良いのではないでしょうか。名前は「php-basic」として下さい。これから作成していくファイルはこの中で管理するようにします。
このフォルダをVisual Studio Code(以下、VS Code)のエクスプローラに登録しましょう。
PHPファイルの作成
php-basicフォルダの中に hello.php
という名前でファイルを作成します。VS Codeのエクスプローラ上で右クリックからファイルを作成して下さい。
PHPの書き方
それでは準備ができたところで、さっそくPHPのプログラムを書いていきましょう。
まずは伝統的な Hello World からです。最も単純なプログラムとして「Hello World」という文字列を表示させることが、プログラミングを学び始める時の慣習となっています。
Hello World をPHPで表示させてみましょう。
hello.phpファイルに、次のようにコードを書いてください。
<?php
print 'Hello World';
?>
このように、PHPのコードは開始タグ <?php
からはじまって終了タグ ?>
で終わり、この中に記述された命令が上から順番に実行されていきます。
尚、終了タグ ?>
は省略することも可能です。本書でもこれ以降、特に理由がない限りは ?>
を省略します。
print はその後に続く値を出力するための命令文です。間に必ず半角スペースを入れて下さい。
print□'Hello World';
そして引用符 '
または二重引用符 "
で前後を囲われた内容は「文字列」として扱われます。
つまりこの1行は 「Hello World という文字列を出力しなさい」 という内容になります。
最後に、命令文の終了を表すセミコロン ;
を忘れないようにして下さい。これを忘れるとエラーになります。
さて、このファイルを保存したら、いよいよプログラムを実行してみましょう。
まずはVS Codeの ターミナルを開く必要があります。Windowsの場合は ctrl + @
、Macの場合は command + j
を押して下さい。下部にターミナルが出現します。
そこへ、次のように入力してください。
$ php hello.php
コンソールに Hello World
と出力されたら成功です。
簡単な内容ではありましたが、あなたは今まさに、PHPでプログラムを書いて、その内容通りの処理をコンピュータに実行させる、という体験をしました。これであなたも立派なPHPプログラマの仲間入りです。
練習問題
hello.phpの実行結果が こんにちは
と出力されるように、プログラムを変更してみてください。
計算
今度はコンピュータに計算をさせるプログラムを書いてみます。とは言っても、ごくごく簡単な内容なので安心してください。
php-basicフォルダ内に新しく calc.phpというファイルを作成して、次のようにコードを書いてください。
<?php
print 5 + 8;
print PHP_EOL;
引用符で囲わない数字は、プログラムでは「数値」として扱われ、計算することが可能です。もし '5 + 8'
のように書いてしまうと文字列として扱われてうまく計算できないので、注意してください。
なお、 PHP_EOL
というのは「改行」を表すPHPの定数です。コンソールで出力結果を見やすくするため、改行も一緒に出力しています。 見やすさのため、今後もこの PHP_EOL は頻繁に登場します。
書き終わったらファイルを保存して、このPHPファイルをターミナルで実行します。
$ php calc.php
13 と表示されたら成功です。プログラム内の 5 + 8 という計算をコンピュータに行わせて、その答えである 13 という値を print 文でコンソールに出力しました。
練習問題
calc.phpの実行結果が 25 となるように、 5 + 8 の部分の計算式を変更してみてください。好きな数値を使って構いません。
コメント
プログラムの中には、処理には関係ない内容を「コメント」として書いておくことができます。そのコードがどのような処理を行っているのかを書いておくことで、他人が見た時にもわかりやすくなります。
comment.phpというファイルを作成して、次の通りにコードを書いてください。
<?php
// これは1行コメントです。
/*
これは複数行コメントです。
改行をして、複数行にわたってコメントを書いていくことができます。
*/
// 次の処理は実行されません
// print 'Hello world';
// 10 引く 3 の計算結果を出力します。
print 10 - 3;
print PHP_EOL;
書き終わったら保存して、実行してみましょう。コメント部分はプログラムの実行に何ら影響することなく無視され、 print 10 - 3;
の処理だけが行われました。(あと、PHP_EOLで改行もされています)
//
に続く1行の文/*
と*/
の間に挟まれた複数行の文
PHPではこのようにしてコメントを書いておくことができます。コメントは他人が見た時にわかりやすくするためだけでなく、自分がどのような理由でどのような処理内容のコードを書いたのかを忘れてしまった時にも便利です。
練習問題
comment.phpのコメント箇所を、次の要件を満たすように変更してください。コメントの文章についても、それにあわせた内容に修正して構いません。
- Hello worldが出力されるようにする
- 10 - 3 の計算結果は出力されないようにする
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