AIに「ログイン機能を作って」とお願いすると、数秒でコードが出てきて、ちゃんと動いてしまいます。画面が表示され、ボタンも効く。「できた!」とうれしくなって、そのまますぐ次の機能へ——。

でも、ひとつだけ聞かせてください。そのコード、あなたは読めますか?

未経験のうちは「動いた=理解した」と思い込みがちです。でも実際は、動いただけで中身はまったく読めていない、ということがほとんど。そして少し厳しいことを言うと、AIが何でも書いてくれる時代に本当に価値が上がったのは、「速く書く力」ではなく「読んで理解する力」だと感じています。読めないまま進むと、たいてい、どこかで止まります。

読めないまま進むと"詰む"3つの場面

① エラーが出たとき
AIに「直して」と頼んでも、返ってきた直しが正しいのか自分で判断できません。コードを読めないと、AIの言うことを信じるしかなく、直したつもりが別の所を壊し、また直して別の所が壊れる——そんな堂々巡りにハマりがちです。読める人は「ここが原因かも」と当たりをつけて頼めるので、復旧がぐっと速くなります。

② 機能を直したい・足したいとき
「ここの色を変えたい」「この条件を追加したい」——これ、どのファイルのどこを指すのか分からないと、AIに指示を出すことすらできません。せっかく自分で作ったアプリなのに、自分では一文字も育てられない、という状態になってしまいます。

③ 別のアプリに応用したいとき
1個目で動いたコードを、2個目に活かせない。コピペしても動かず、「なぜ前は動いていたのか」を読んで理解していないと、二度と再現できません。逆に読める人は、過去に自分が書いたコードがそのまま次の作品の資産になっていきます。

なぜ今、「読む力」なのか

少し前まで、プログラミングの価値は「書けること」そのものでした。でも今は、書くところはAIがかなり肩代わりしてくれます。だからこそ差がつくのは、出てきたコードを読んで「これは何をしているか」を自分の言葉で言える力——つまり理解して自分で動かしていく"自走力"です。読めれば、自分のアプリは自分で直せるし、育てられるし、別の作品にも応用できる。逆に読めないと、ずっとAI頼みのまま、自分の手では一歩も動かせません。スクールや教材を一通り終えても「結局、自分一人だと何もできない」と感じてしまう人の多くは、じつはここでつまずいています。

"読む力"は、小さな習慣で育つ

身がまえなくて大丈夫。最初から全部を完璧に読む必要はありません。次の3つを、できるところから試してみてください。

  • AIにコードを書かせた直後に「このコードを1行ずつ日本語で説明して」と頼む
  • 1ファイルだけ、自分の言葉でコメントを書き足してみる
  • 「なぜこう書いたの?」「他のやり方は?」と、一度だけ聞き返す

たったこれだけでも、続けると見える景色が変わってきます。しかも面白いのは、この習慣で育つのがコードの読解力だけではないこと。AIに的確に指示する力、AIの出力を鵜呑みにせずチェックする目——つまりプログラミングと、AIと協働するスキルが、同時に身についていきます。これはコーディング以外の仕事(資料づくりや調べもの)にも一生使える土台になります。

「動いた」で満足せず、「読める」を少しずつ。それが、自分のアプリを自分で直し、応用していける"自走力"の正体です。


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