エクセルの集計ツールを3ヶ月かけて作った。スタッフは使わなかった。
最初に思ったのは「自分が悪いのかな」だった。
土日も潰した。関数を調べて、レイアウトを整えて、テストして、「これで現場が楽になる」と思って渡した。返ってきた言葉が「手入力の方が早いんですよね」。
眠れない夜が何日かあった。
これ、あなたにも心当たりありませんか
現場に聞かずに作り始めた
完成してから初めてスタッフに見せた
「便利なはず」と思っていたのは自分だけだった
説明すれば使ってくれると思って説明会を開いた
それでも使われなかった
2つ以上あてはまるなら、原因は完成度じゃないです。順番が逆だっただけです。
なぜ使われなかったのか、後から分かった3つの理由
① 解くべき問題が違った
スタッフが困っていたのは「集計に時間がかかること」じゃなかった。「入力ミスが後から発覚すること」だった。僕が作ったのは集計ツール。スタッフが欲しかったのはミス検知の仕組み。3ヶ月、ずっと的外れなものを作っていた。
② 使い始めの「1秒の迷い」が致命傷だった
スタッフにとって新しいツールを覚えるコストは、今日の残業1時間より重い。どれだけ便利でも、開いた瞬間に「どこに入力するんだっけ」と思ったら、その人はもう戻ってこない。完成度の問題じゃない。入口の設計が全てだった。
③ 完成品を渡すと「他人のツール」になる
自分が一切関わっていないものを、いきなり「使ってください」と言われても人は動かない。作る過程に一人でも巻き込めば、そのスタッフは自分から使い始める。機能は何も変わらなくても。
じゃあどうすればよかったか。3ステップで書く
ステップ1:作る前に1時間、話を聞く
「今、何が一番面倒ですか」この一言だけでいい。答えを聞いたら「それって毎日ありますか」「何分くらいかかってますか」と深掘りする。ここで初めて「本当に解くべき問題」が見える。僕の場合、これをやっていれば集計ツールは作らなかった。
ステップ2:完成前に触らせる、必ず
骨格だけできた段階で一度見せる。「まだ途中なんですけど、使いにくいところありますか」と聞く。このとき重要なのは感想を求めないこと。「どこで迷いましたか」だけ聞く。迷った場所がそのまま改修リストになる。完成してから見せると「もう変えられない」という空気になる。途中だから正直に言ってもらえる。
ステップ3:最初の1回、隣で一緒にやる
説明会はいらない。マニュアルもいらない。使ってほしい人の隣に座って、一緒に一回やるだけでいい。「ここ押して、次これ入力して、終わりです」を体で覚えてもらう。所要時間10分。これだけで定着率が全然違う。説明会を30分やるより、隣で10分の方が10倍効く。
結論
作った時間より、聞かなかった時間の方がもったいなかった。
3ヶ月は要らなかった。作る前に1時間、話を聞けばよかっただけだ。
これから業務効率化ツールを作ろうとしてるなら、今すぐ手を止めて「今、何が一番面倒ですか」と聞いてください。それだけで3ヶ月が3週間になります。

