僕が常々英語学習について良くない傾向に思うのは、英語学習が『キャリアに役に立つツールであるから』やるという考え方が支配的であることです。

確かに、英語というスキルあるいはツールは、キャリアの上で強力な武器になります。転職する際に転職先をより多く選べるようになりますし、単純に仕事や収入アップの機会を増やすことができ、英語を話せることはある程度のレベルの年収を得る上で有効だという話もあるほどです。事実、高年収の人のTOEICのスコアを見てみると、確かに800以上や900以上ということが珍しくないとされています。

このように英語というものが分かりやすい『役に立つもの』であるからこそ、『役に立つから』勉強をするというのが一般的、または当たり前になっています。しかし、単純な趣味として、『楽しいから』や『自分自身と向き合えるから』といった理由で英語を勉強することも、決して間違いではないはずです。ちょうど、『ピアノを弾くのが好きなのでピアノを習っている』というように、役に立つかどうかは関係なく、英語を勉強することが目的で英語を勉強する。実はこういうモチベーションを持つ人が、英語学習では最も強いのです。

もちろん、『役に立つから』という理由で英語を勉強すること、そうした功利的な動機が間違っているわけではありません。しかし、英語が役に立つレベルになるまでには、少なくともそれなりの時間が掛かります。それは人によっては1ヵ月かもしれませんし、あるいは1年かもしれませんし、5年ということもあるでしょう。それ以上かかる人もいるかもしれません。役に立つからといって英語を勉強する場合、『役に立たないレベルの期間』を、何か別のモチベーションによって保たなければいけなくなります。大抵の場合、これが難しい。だからこそ、『英語を勉強することが目的で英語を勉強する』という人がとても強いのです。

一方、最初は『役に立つから』という理由で勉強していた人が、少しずつ英語のことを分かってきて、勉強自体が楽しくなってくるということもあるでしょう。そういった意味では、最初の一歩がどういう動機であっても良いでしょう。ただ、「どうせ英語なんて勉強しても使わないしな」とか、「英語を勉強してもすぐに話せるわけじゃないしな」といった理由で英語学習をしていないのは、もしかしたらもったいない選択肢かもしれない、ということなのです。

では、あくまで『取っかかり』として、英語を勉強する最初のモチベーションになりそうな『英語を勉強するメリット』にはどんなものがあるのでしょうか。明日の記事では、これについてまとめてみようと思います。