知ったら勉強したくなる英語の6つのメリット、前回は3つをご紹介致しました。

今回は後編として、残り3つをご紹介します。どのメリットも、すぐにでも英語を勉強したくなるような効果であると言えるでしょう。

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4: 海外進出できる

実際に海外に足を運ぶ場合でなくとも、海外とやり取りをすることができればチャンスの裾野を広げることに繋がります。例えばあなたがデザイナーやアーティストなら、海外の賞に応募することができるようになるかもしれませんし、日本では売れないプロダクトが実は海外では売れるということもあるかもしれません。

また、海外進出できることをチャンスを広げる以上にリスクヘッジであるという考えることもできます。例えば日本の経済状況が芳しくなくなったとき、日本の経済が回復するまで海外で暮らそう、といったような選択肢を選びやすくなるのです。

インプットだけでなくアウトプット面でも、英語を使いこなすことができれば自由度が高くなる。これは大きなメリットであると言えるでしょう。

5: 認知機能が高まる

英語を勉強するということは言語を勉強するということであり、言語は形のない概念的なものですから、抽象的な問題や事柄について理解するということが必要になってきます。そうした経験を通じて、認知能力が高まることが期待できます。

また、複数の言語を扱うことできる脳は、アルツハイマー病などの疾患の発症を5年程度遅らせるなど、健康面でも良い効果があるというデータもあります。英語を勉強することは、脳の健康を高め、維持することでもあるのです。

参考URL: https://www.youtube.com/watch?v=MMmOLN5zBLY
(URL先は英語の動画ですが、日本語字幕を設定できます)

6: 英語の文章だから感じられる良さが分かってくる

"真実の意味を言へば、外国語は決して訳することが出来ないのである。単に類似の言葉をもつて、仮りに原語に相当させ、ざつと間に合はせておくにすぎない。然るに日本人は、歴史的に思想を持たない国民であるから、本来哲学的の思想を根とする西洋文学の輸入に際して一もそれに適応する原語がなく、日本語字典のあらゆる言海を探した後で、止むを得ず「現実」や「自然」などといふ訳語を、無理にこじつけて適当させた。そして結局、レアリズムもナチュラリズムも、その他の如何なる西洋文学も、正当に翻訳し得ないで終つてしまつたのである。"
— 荻原朔太郎:誌の翻訳について

"一つの言語を他の言語に翻訳するのに最も困るのはその文体の《テンポ》である。文体はその種族の性格のうちに、生理学的に言えば、その種族の「新陳代謝」の平均的な《テンポ》のうちに根拠をもつものである。(中略)ドイツ人はその言語において殆んど《快速調》を用いることができない。従って、自由な、自由精神的な思想の最も愉しく最も大胆な《ニュアンス》の多くを出すこともできない、と言われるのは正を射たものであろう。ドイツ人には、肉体的にも良心的にも、《道化歌手》も半獣神も性に合わないように、アリストファネースもペトロニウスも翻訳することができない。"
— フリードニヒ・ニーチェ:善悪の彼岸

"一体、欧文は唯だ読むと何でもないが、よく味うて見ると、自ら一種の音調があって、声を出して読むとよく抑揚が整うている。即ち音楽的である。だから、人が読むのを聞いていても中々に面白い。実際文章の意味は、黙読した方がよく分るけれど、自分の覚束ない知識で充分に分らぬ所も、声を出して読むと面白く感ぜられる。これは確かに欧文の一特質である。"
— 二葉亭四迷:余が翻訳の標準

先人がこのように言っている通り、日本語で文章を読むのと英語で文章を読むのでは、"書いてある内容が一緒だとしても"感じ方が全く異なるものです。特に小説や詩を読む場合や、哲学書や理論書などを読む場合には、日本語で読む場合と英語で読む場合とでは浮かぶ情景や説得力が全く違ってくるでしょう。

英語を学ぶということは、こうした、言ってしまえば英語学習者に特権的な、翻訳されたものでは決して味わえない楽しみや風味を感じられるということでもあります。そしてその感性は、きっとあなたの感受性を豊かにし、様々な文章を読む上での理解度や没入感を大きく変えてくれることでしょう。もちろんそうして磨かれた感性は、あなたが日本語で何かをアウトプットするときや、何らかの作品を作り出すとき、思わぬ形で役に立つかもしれません。

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以上、現役の翻訳家が思う6つの英語学習のメリットでした。もちろん、これ以外にも英語を学習するメリットは色々とあるでしょう。自分なりにモチベーションになる英語学習のアドバンテージを意識することで、最初の一歩が踏み出しやすくなるかもしれません。あとはその一歩を、また一歩、もう一歩と続けていくだけです。