起業するとき、どういう準備をすればいいのか。この記事では、5つのステップに分けて具体的な内容を解説していきます。

この内容に沿って準備をすれば、まず大丈夫です。聞いていく中で大事だと思ったところはメモを取り、「自分だったらここどうするかな」と考えながら読み進めてください。


ステップ1:アイデア出し

事業はまず「何をするのか」というアイデアが大事です。

事業内容を決める

あなたは何をするんですか?飲食店をやるのか、マーケティング系の会社をやるのか、動画制作をやるのか、プログラミングをやるのか、スクールをやるのか。まずこれを決めていく必要があります。

できるだけ詳細に決めてください。 飲食店をやるなら、それはラーメン屋なのか。そのラーメン屋は大衆向けなのか、ラーメン好きの人向けなのか。3段階ぐらいは深掘りしたいところです。

ターゲットを決める

次に、そのサービスのターゲットが誰なのかを決めていきましょう。

この段階ではターゲットでOKです。もっと深掘りした用語で「ペルソナ」というものがありますが、違いを簡単に説明すると:

  • ターゲット:40代女性、大阪に住んでいる
  • ペルソナ:42歳女性、大阪在住、専業主婦のゆみ子さん、趣味は○○、よく読む雑誌は△△…

この段階では一旦ターゲットだけで大丈夫です。

市場分析

自分がこれからやろうとしているマーケットがどういう状況なのかを理解します。

たとえばカフェをしたいなら、カフェの市場は今伸びているのか、横ばいなのか、下がっているのか、今後どうなるのかを調べていきます。

当然、伸びている市場の方がいいです。ただし、下がっているからといってダメではありません。 下がっている中でどうやって戦うか、この戦い方によってはワンチャン化ける可能性があります。

競合分析

市場分析とセットで行います。

カフェ業界で今どうなっているのか。たとえばスタバはずっと伸びていたけど最近は横ばい気味。なぜなのか、打開するためにどういうことをしていくのか。逆にスタバが下がっている中で伸びているところはどこなのか。

もっと身近なところを見てもいいです。自分が出店しようとしている近くのカフェはどんな感じなのか。価格帯、客層、接客、お店の雰囲気などを調べてみてください。

SWOT分析

SWOT分析というフレームワークがあります。

  • 強み(Strength):自分にとっての強みは何か
  • 弱み(Weakness):自分にとっての弱みは何か
  • 機会(Opportunity):どういう機会があれば成長するか
  • 脅威(Threat):何が自分にとっての脅威になるか

これを分析することで、自分の事業の立ち位置が明確になります。


ステップ2:必要なものを把握する

スキル

自分がやろうとしている事業に、どんなスキルが必要ですか?

たとえばWebサービスを作って売っていきたいなら、プログラミングスキル、売るスキル、マーケティングスキルなどが必要です。必要なスキルを列挙してみてください。

ツール

次に、それに必要なツールは何かを調べてみてください。

プログラミングならどういったソフトを使えばいいのか、言語は何を使えばいいのか、効率化できるツールは何か。今は検索すれば大体出てきます。

できれば、その事業をすでにやっている人に「どういったものが必要ですか」と聞く機会があれば、それが一番の近道です。

オフィス

オフィスや店舗は本当に必要ですか?真剣に考えてみてください。

会社を作るというと、オフィスを借りてビルを建てて…というイメージがあるかもしれませんが、今の時代、必ずしもオフィスは必要ではありません。 オフィスがいらない業態は結構多いです。

オフィスを借りるときは結構コストがかかります。保証金(家賃半年分程度)を最初にドカッと払い、さらに家賃、家具…と、100万〜300万かかることも普通にあります。

今は自宅で起業することもできますし、バーチャルオフィスやレンタルオフィスという選択肢もあります。ここの費用を抑えられるので、色々調べてみてください。

資格

業種によっては資格が絶対に必要なものがあります。弁護士、税理士、会計士などは資格がないとできません。飲食店なら衛生許可が必要です。

ここは結構落とし穴があります。

「料理できるからいいよね」とお弁当屋さんを始めたものの、営業許可を取っていない、衛生許可を持っていない。後から調査が入って大問題に…ということもありえます。自分がやろうとしている業種で必要な資格がないか、しっかり調べておいてください。

パソコン(MacBook)

パソコンは本当に必要です。

スマホで色々できる時代になりましたが、画面の大きさが違います。パソコンでできることは無限にあります。AIツールもどんどん出てきていますが、iPhoneアプリがないケースや、パソコンからしか使えないものも大量にあります。

Googleスプレッドシートなども、スマホからだと使い勝手が悪い。MacBookがあることで業務効率が大きく上がるので、絶対に買っておいてください。

MacBookは中古でOKです。

  • どうしても新品がいい人 → Appleストアで購入
  • 中古に抵抗がある人 → Amazonの整備品
  • とにかく安く抑えたい人 → メルカリ

メルカリで壊れたものが届いたらどうしよう…と思うかもしれませんが、受け取って問題があった場合、評価をせずに「壊れてます」と言えば返品・返金できます。選定さえ間違えなければ、新品の1/4くらいの価格で買えることもあります。

ちなみに私もほとんど中古で買っています。今使っているMacBookは5〜6台目ですが、新品で買ったのは1台だけです。


ステップ3:資金の計算

開業資金

開業するときにいくらお金がかかるか、調べてください。検索すれば普通に出てきます。株式会社を作るならいくら、合同会社を作るならいくら、といった情報が見つかります。

個人事業主で始める場合は、開業資金は基本的にいりません。昔は資本金をしっかり用意しないといけませんでしたが、今の時代は資本金1円からでも、実質0円で始める方法もあります。

開業届などの書類作成は難しいですよね。プロに依頼すると10万円くらいかかりますが、「リーガルスクリプト」と検索すると、無料で法人設立に必要な書類を作成できるサービスがあります。

経費

自分がする事業において、何を準備しないといけないか考えてみてください。

たとえば動画撮影なら、ホワイトボード、ペン、三脚、照明などが経費になります。カフェなら、内装費、豆の仕入れ、マシン、器など、色々かかってきます。

「初めてだし何がいるかわからない」という方は、ChatGPTに相談してみてください。

「私はカフェをしようと思っています。開業に必要な経費、用意するべきもの、買うべきものをリストアップしてください」と聞けばリストアップしてくれます。「今リストアップしてもらったものの、およその相場・価格帯を教えてください」と続ければ、それも出してくれます。

売上計画

正直、この段階で綿密な売上計画なんて立てられるわけがありません。 なぜなら、まだやっていないから。

でも、やっていないなりに計画を立てることが非常に重要です。一番良くないのは「とりあえず頑張って儲けよう」「とりあえず1000万稼げたらいいな」という曖昧な目標です。

自分が販売するサービスはいくらで、何人に売れて、月間どれくらい売れるから、大体これくらい売上が立つ——という売上計画を作ります。

この時に必ず3種類作ってください:

  1. 楽観的:うまくいったらこれくらいいくだろう
  2. 現実的:ここらへんは安牌に行くよねというライン
  3. 悲観的:うまくいかなかった場合、最悪ここらへんかな

後から絶対修正しないといけないものだと思っておいてください。今の段階で完璧な計画は立てられないので、まず一旦「こんなもんだろう」というのを作ってみましょう。

資金調達

資金調達は奥が深いので、ここではさらっと説明します。

基本的に大きく分けると2つあります:

  1. デッドファイナンス:借りる(銀行からの借入れ、返済していくお金)
  2. エクイティファイナンス:投資してもらう(投資家から資金調達、返さなくていいお金。代わりに株式や経営権の一部を譲渡)

ハードルが高いという方は、身内から借りる、自分の貯金から出すという方法もあります。

私がおすすめしているのはデッドファイナンス、銀行から借りることです。 日本政策金融公庫に行って開業用の資金を借り、さらにそこが提携している地銀などとダブルで借りるのがおすすめです。

報酬(自分の給与)

皆さん内緒にするんですけど、自分の給与をいくらにするのかも決める必要があります。結構落とし穴です。

  • 高く設定しすぎると → 報酬未払いになり、会社としてマイナス
  • 低く設定しすぎると → 自分がお金を使えない、生活できない

高く設定してしっかりもらいすぎると税金もかかるので、この塩梅は難しいところです。税理士に相談したり、自分で色々調べた数字を参考にしてください。

絶対に勘違いしないでほしいのは、自分が立てた会社だからといって、会社のお金は自分のお金だと思わないでください。

よくある勘違いで、会社の口座から私的流用をガンガンしたり、お金をバンバン引き抜いて使ったりする人がいますが、絶対ダメです。

会社の口座は会社のためのもの、会社のお金です。報酬として吐き出して、そのお金を自分のものとして使ってください。私的流用しすぎると税務調査で一発で指摘されますし、何より事業の経費を正しく評価できなくなります。


ステップ4:ビジネスモデル

売上の構造

自分のビジネスモデルは、誰から、いくら、どういったお金をもらっていくのか。この構造をしっかり考えてください。

  • 客単価はいくらか
  • LTV(ライフタイムバリュー):1人のお客さんがうちにいくら、どれくらいの期間で使ってくれるのか

支出

日々出ていくお金は何があるか把握してください。飲食店なら原価がありますし、人件費もあります。月々どれくらい出ていくのか計算しておきましょう。

マーケティング

どういう風にして自分のサービスをお客さんに知ってもらうのか。商品やターゲットによって、マーケティング方法は千差万別です。ここはしっかり力を入れていくべきところです。

「今の時代はSNSだ」と言ってSNSだけに力を入れる人がいますが、100点満点中10点くらいです。

ターゲットに対して本当に届くのがSNSなのか、しっかり見極めないとダメです。「時代はSNSだ」と言われているからと惑わされるのではなく、自分の商品・サービスが何なのか、ターゲットが誰なのか、そこに届ける手法として何が適切なのかを考えてください。

事例研究

同じ業界でうまくいっている成功事例を調べてください。

ただし、大切なのは失敗事例を学ぶことです。

私はいつもこう言っています:「成功に再現性はほとんどないけど、失敗は再現性がある」

成功する要因には、たまたま、時代の流れに乗っていた、という要素がかなり多く含まれる場合があります。「スタバがこうやっているから、うちのカフェもこうやろう」と今からやっても、絶対うまくいきません。時代が変わっている、消費者のニーズが変わっている、市場が変わっているからです。

どうやってうまくいったのかを学ぶのは大切ですが、それより重要なのは失敗事例から学ぶこと。 どういったカフェがよく潰れているのか、どういったプログラミング開発の会社が失敗しているのか。

今はSNSで、会社を倒産させた社長さんが自分の失敗談を赤裸々に語っているアカウントもあります。そういうのがあれば最高です。その人と同じ失敗の仕方をすれば100%失敗するのだから、その失敗を避ければ、少なくとも同じやり方で失敗することはなくなります。

失敗事例をたくさん抱えている人が、失敗しません。

ビジネスモデル図鑑2.0

検索してみてください。いろんなビジネスモデルを図解してくれている本や電子書籍、Web記事があります。いろんな業界・会社のビジネスモデルが図でわかりやすく書いてあるので、必ず押さえておいてください。


ステップ5:相談相手を見つける

自分1人でやろうとしないでください。 起業なんて1人でやってうまくいくのは本当にごくごく稀です。

ソフトバンクの孫正義さんも、1人であそこまで登り詰めたわけではありません。強力な右腕・左腕がいて、多くの従業員や仲間がいて、時に誰かに頼ったり相談したりお願いしたりして困難を乗り越えてきたのです。

一番身近な相談相手は親です。起業経験はないかもしれませんが、親はあなたのことを一番よく理解しています。

事業でうまくいく・失敗するの根底にあるのは、自分のそもそもの性格です。 これはなかなかすぐには変わりません。そういったところを一番理解しているのが親なので、相談してみる価値はあります。

友人

親と仲が悪い場合は、友人に相談してみてください。「今こういうことをやっていて、こういう風に頑張ろうと思ってるんだけど、どう思う?」と話してみましょう。

仲間

相談できる友人がいない場合は、仲間を探してみてください。起業しようと思っている人の周りには、少なからずそういう人が1人か2人いるはずです。

もしかしたら、その仲間が一緒に起業するメンバーになってくるかもしれません。

先輩経営者

起業している先輩、経営者の人がいれば、相談してみるといいでしょう。

ビジネスは根本は一緒なので、業界・業種が違っても経営者の先輩の話には耳を傾けてみてください。その人がうまくいった理由は何か、うまくいかなかったところはどこか、色々聞いてみましょう。

メンター

今日お話しした内容は汎用的なもので、誰にでもある程度当てはまります。ただ、これを深掘りしていくと「自分の場合どうしたらいいの」「自分だったらどんな事業ができるか」と必ず悩むはずです。

そういったときに相談できるメンターを見つけてください。あなた専用にカスタマイズしたアドバイスをもらえる存在がいると、成功率は大きく上がります。


まとめ

起業の準備リストを5つのステップでお伝えしました。

  1. アイデア出し:事業内容、ターゲット、市場分析、競合分析、SWOT分析
  2. 必要なものを把握:スキル、ツール、オフィス、資格、パソコン
  3. 資金の計算:開業資金、経費、売上計画、資金調達、報酬
  4. ビジネスモデル:売上構造、支出、マーケティング、事例研究
  5. 相談相手:親、友人、仲間、先輩経営者、メンター

成功に再現性はほとんどありませんが、失敗には再現性があります。失敗事例をたくさん学び、同じ轍を踏まないようにすることが、成功率を上げる一番の近道です。