デザイナーの仕事が“制作”から“設計”に移っている話
デザイナーの仕事が“制作”から“設計”に移っている話

導入|それ、自然です
それ、自然です。
制作をしていると、ある瞬間から急に不安になることあるよね。
「見た目は整ってきたのに、なんか弱い気がする」
「これ、何を直せば良くなるのか分からない」
「“正解っぽい形”にはできるけど、仕事として強いのかは自信がない」
手は動く。ツールも触れる。
でも最後の最後で「これで出していいのか」が決まらない。
この止まり方って、センスの問題じゃない。
今の時代のデザインって、“制作だけで終わらない”場面が増えたから起きやすい。
いま起きてるのって、こういうやつ
- 文字や余白は整えたのに「伝わってる気がしない」
- 情報を足すほど、逆に弱くなる
- 参考を見れば見るほど、どれが正しいか分からなくなる
- クライアントの要望に全部応えようとして崩れる
- 「良さ」を説明できなくて、判断が止まる
これ、自然な反応。
いまの仕事の現場では、完成度だけじゃなくて「設計」が問われる場面が増えてるから。
構造の説明|あなたの問題じゃない
「設計」って聞くと、急に難しそうに感じるかもしれない。
でも、ここで言う設計は“特別な才能”じゃなくて、すごくシンプルな話。
ざっくり言うと、
- 何のために作るか(目的)
- 誰に向けて作るか(相手)
- 何を優先するか(順番)
- 何を削るか(選ぶ)
この“決め方”の部分。
そして今、デザインの仕事はこの“決め方”の比重が上がってきてる。
なぜそうなったのか、構造で分けるね。
1)見た目の制作が早くなった(だから差が設計に寄る)
ツールが増えて、テンプレも増えて、AIもある。
「形にする」だけなら、以前より早くできるようになった。
早く作れるのはいいことなんだけど、同時にこういう変化が起きる。
- 見た目だけの差が出にくくなる
- 似たようなデザインが増える
- “整ってるだけ”では選ばれにくくなる
だから差が出るのが、制作よりも前段階の
- 何を言うか
- 何を言わないか
- どういう順番で見せるか
に寄っていく。
2)デザインが成果とつながりやすくなった(数字の世界に近づいた)
LP、広告、SNS、採用、資料、サムネ…
いまの制作物って、反応がすぐ出やすい。
- クリックされる/されない
- 読まれる/離脱する
- 問い合わせが増える/増えない
- 応募が来る/来ない
こういう世界では、見た目だけで勝ちにくい。
「相手が迷わない」「目的に向かってる」ほうが強い。
そのために必要なのが、設計。
3)依頼側の期待が変わった(“作って”より“整えて”が増えた)
クライアントは、デザインそのものが欲しいというより
- 売上
- 予約
- 集客
- 採用
- 信頼
みたいな目的のために依頼してることが多い。
だから最近は、依頼の言い方も微妙に変わってきてる。
- 「いい感じに作って」より
- 「伝わるように整えて」「反応が出るようにして」
が増える。
ここで、制作スキルだけで対応しようとすると苦しくなる。
なぜなら、制作スキルは“作る力”であって、
目的に向けて“切り分ける力”ではないから。
4)情報が多すぎて、制作だけだと迷いが減らない
参考、テンプレ、成功事例、ノウハウ…
情報が多いほど、制作の判断が増える。
- どのレイアウトがいい?
- どの色がいい?
- どのフォントがいい?
- どこまで入れる?
この判断を全部「制作の中」でやろうとすると、止まりやすい。
でも逆に言うと、制作の前に設計があると楽になる。
- 目的が決まってる
- 相手が決まってる
- 優先順位が決まってる
- 削る基準が決まってる
この状態なら、制作の判断が一気に減る。
判断の視点|こう見ると楽になる
ここで今日の判断の切り口を1つだけ渡すね。
正解じゃないけど、これがあると制作が前に進みやすい。
今日の判断の軸(1つだけ)
- 「作りながら考える」じゃなく「決めてから作る」に寄せる
これ。
「作りながら考える」って、実はめちゃくちゃ疲れる。
なぜなら、手を動かしながら同時に
- 目的は何だっけ
- 相手は誰だっけ
- 何が一番大事だっけ
を毎回迷うから。
でも「決めてから作る」ってできると、制作が軽くなる。
“決める”って何を決めるの?
大げさな企画書じゃなくていい。
制作前に、これだけ決めれば十分。
- 目的(何のため?)
- 相手(誰に?)
- 優先(まず何を伝える?)
- 削る(何は捨てる?)
この4つが決まると、デザインの迷いが減る。
たとえ話(1つ)
引っ越しの荷造りって、
「全部とりあえず箱に入れる」だと一瞬でカオスになるよね。
でも「まず必要なもの」「最後に使うもの」「捨てるもの」って分けた瞬間、作業が楽になる。
デザインも同じで、制作(箱詰め)を始める前に、
目的と優先順位と“捨てる”を決めると、迷いが減る。
制作への接続|じゃあ制作に戻ろう
ここまで読んで、「設計ってつまり…私、まだ足りないってこと?」って思ったら、責めなくて大丈夫。
いま“設計が必要”って感じる瞬間があるだけで、もう一歩進んでる。
だって制作だけで満足できるなら、不安は出にくいから。
ここからは、制作の中で“設計の動き”を1つだけ増やせばいい。
迷ったときの「設計に戻る」短い問い
制作中に手が止まったら、これを短く確認してみて。
- いまの目的は何?(1行)
- 見る人は誰?(1人)
- その人が最初に知りたいのは何?(1つ)
- そのために、今は何を削る?(1つ)
これを決めるだけで、制作の手が戻ってくることが多い。
よくあるズレ(やさしく修正)
情報は多いほど親切- 親切は“量”じゃなくて“迷わせない順番”で作れることが多い
きれいに整えれば伝わる- きれいは大事。でも“何を先に見せるか”が決まってないと伝わりにくい
全部の要望を入れれば安心- 入れるほど安心、じゃなくて“優先を決めるほど安心”になるケースも多い
完璧じゃなくていい理由
設計って、最初から完璧にできるものじゃない。
でも、制作をしながら
- 目的を言葉にする
- 相手を絞る
- 優先順位を決める
- 削る
を繰り返すほど、判断が速くなる。
そして判断が速くなるほど、制作が楽になる。
今日の締め(短く)
いまの仕事は、制作の上手さだけじゃなく、決め方が強さになる。
だから今日も、決めてから作る。
じゃあ、その軸で制作に戻ろう。

