「教えてもらう前提」が判断力を奪う構造

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それ、自然です

分からないときに、誰かに聞きたくなる。
「これで合っていますか」と確認したくなる。

その感覚は、とても自然です。
学び直しの途中は特に、間違えたくない気持ちが強くなるからです。

「誰かに答えを教えてほしいです」
「正解を言ってもらえたら安心できます」
「一人だと不安で進めません」

こう感じること自体が悪いわけではありません。
ただ、ここで一つだけ注意したいのは、
“教えてもらう前提”が強くなるほど、判断力が育ちにくくなる構造がある、という点です。

これは根性論ではありません。
人の学習の仕組みとして、そうなりやすいのです。


構造の説明

「教えてもらう前提」が判断力を奪うのは、能力がないからではありません。
“判断の置き場所”が外に固定されることで起きます。

1)判断の置き場所が「自分」ではなく「先生」になります

教えてもらう前提が強いと、制作中の判断はこうなります。

  • 私は決めない
  • 先生が決める
  • 先生の答えが正解

すると、制作は進みやすくなります。
なぜなら、決める負担が減るからです。

ただし、その分だけ「自分で決める回数」が減ります。
判断力は、決める回数が増えるほど育つため、ここで育ちにくくなります。

これは自然な結果です。

2)「質問」をするたびに、判断の筋肉が使われにくくなります

質問は悪いことではありません。
ただ、質問の内容によっては判断の筋肉が使われなくなります。

たとえば、こういう質問は“答え”を外に置きやすいです。

  • これで合っていますか
  • 正解はどれですか
  • どれが良いですか

この質問をすると、判断は一時的に外に移ります。
外に移ると、安心は得られます。
しかし、判断の練習は減ります。

結果として、次の制作でも同じ質問が必要になります。

3)「自分の基準」が育たないため、場面が変わると再現できません

教えてもらった答えは、状況が変わると使えないことがあります。

  • 目的が違う
  • 相手が違う
  • 情報量が違う
  • 期限が違う

実務は、毎回条件が違います。
だから必要なのは、答えの暗記ではなく、判断基準です。

教えてもらう前提が強いと、答えは増えますが基準が育ちにくくなります。
その結果、条件が変わった瞬間に止まります。

4)「失敗の恐怖」が強いほど、教えてもらう前提が強くなります

教えてもらう前提が強い方は、真面目な方が多いです。

  • 失敗したくない
  • 間違えたくない
  • 恥をかきたくない

この気持ちが強いほど、答えが欲しくなります。
しかし、判断力は“間違えても修正できる”経験の中で育ちます。

失敗が怖くて「正解をもらう」方へ寄るほど、
判断力が育つ機会は減りやすくなります。


判断の視点

ここで、判断が戻りやすくなる切り口を1つだけお渡しします。

今日の判断の軸(1つだけ)

  • 「教えてもらう」をやめるのではなく、「自分の仮決め」を先に置く

つまり、質問をするときの順番を変えます。

  • いきなり「正解を教えてください」ではなく
  • 先に「私はこう判断しました」を置く

この順番にすると、判断力は奪われにくくなります。
なぜなら、自分で決める回数が残るからです。

例えるなら、答え合わせと同じです。
先に自分で解いてから答えを見ると、学びになります。
最初から答えを見ると、その場は楽ですが、力はつきにくい。
“教えてもらう前提”も同じで、先に仮決めを置くと自立につながります。


制作への接続

ここまで読んで、「ではどうすればよいのか」と感じた場合、今日からできることはシンプルです。
質問の形を変えます。

質問するときの「仮決めテンプレ」

聞く前に、次の形で1行だけ書いてください。

  • 私は(目的)に対して、(優先)を理由に、(この案)を選びました。合っていますか。

例)

  • 私は「告知」に対して、可読性を優先する理由で、この文字サイズを選びました。合っていますか。
  • 私は「信頼」を目的に、余白を優先する理由で、この配置にしました。合っていますか。

この形にすると、先生は“答え”ではなく“基準”を返しやすくなります。
そして自分の中にも基準が残りやすくなります。

迷ったときの戻り方(短い4つ)

制作で止まったら、次の4つだけ決めてから質問してみてください。

  1. 目的は何ですか(1行)
  2. 見る人は誰ですか(1人)
  3. 最優先は何ですか(1つ)
  4. 自分はどう仮決めしますか(1つ)

ここまで決められたら、質問は依存ではなく、判断を強くする材料になります。

よくあるズレ(やさしく修正)

  • 質問するのは悪い
    → 質問は悪くありません。順番が大切です。
  • 正解を教えてもらえば成長する
    → 成長しやすいのは「基準」が残る形です。
  • 自分で決めたら間違える
    → 間違えても修正できる経験が、判断力を育てます。

最後に

「教えてもらう前提」が判断力を奪うのは、構造です。
質問をやめるのではなく、仮決めを先に置く。
その順番で、判断を取り戻したうえで制作に戻りましょう。