「センスがないのかも」と思ってしまう瞬間の正体
「センスがないのかも」と思ってしまう瞬間の正体

それ、自然です
制作していると、急に胸がぎゅっとなる瞬間はありませんか。
「私、センスがないのかもしれません」
「何か変…でも何が変なのか分かりません」
「直したいのに、直し方が分かりません」
こう感じるのは、とても自然です。
デザインは“間違い”が見えにくく、しかも比較対象が多い世界だからです。
しかも、この言葉が出るのは、何もしていないときではありません。
手を動かしているとき、真面目に作っているときに出やすい。
だからこそ苦しいのですが、ここで一つだけ整理しておきたいことがあります。
「センスがない」という感覚は、ほとんどの場合、“才能の欠如”ではありません。
それは、ある条件が重なったときに起きる、自然な反応です。
構造の説明
「センスがないのかも」と思ってしまう瞬間には、共通する構造があります。
この構造が分かると、必要以上に自分を責めずに済みます。
1)違和感はあるのに、原因が言語化できないときに起きます
人は、違和感そのものよりも、
「違和感の正体が分からない」ことに耐えにくいです。
- 何かおかしい気がする
- でも、どこが原因か分からない
- だから、全体がダメに見える
このとき、人は原因を“自分”に置きやすくなります。
- 私のセンスがないからだ
- 私には向いていないのかもしれない
しかし実際には、多くの場合、原因は具体的です。
ただ、言葉になっていないだけです。
たとえば、よくある原因はこういうものです。
- 優先順位が曖昧(何が主役か分からない)
- 情報量が多い(視線が迷う)
- 余白が足りない(窮屈に見える)
- コントラストが弱い(読めない)
- 配置の揃いが甘い(落ち着かない)
つまり「センス」ではなく、チェック視点がまだ言語化されていない状態です。
2)比較をした瞬間に起きやすくなります
「センスがない」と感じる瞬間は、比較とセットで起きやすいです。
- プロの作品を見る
- 伸びている投稿を見る
- 洗練された事例を見る
そのあと自分の制作を見ると、急に弱く見える。
これは自然です。
比較は、相手の“完成形”と自分の“途中”を並べやすいからです。
さらに、比較は「何が違うのか」を丁寧に教えてくれません。
結果だけを見せます。
結果だけを見ると、人はこう考えます。
- 私にはセンスがない
ではなく - 私は何が違うのか分からない
この“分からない”が、センスという言葉に置き換わりやすいのです。
3)正解探しが長いほど、センス不安が増えます
正解を探し続けるほど、判断の基準が外に置かれます。
- どれが正解か
- どれが上手いか
- どれが人気か
この視点が強いほど、「自分の基準」が育ちにくくなります。
基準がないまま制作をすると、毎回ぶれます。
ぶれると、不安になります。
不安になると、また正解を探します。
このループが長くなるほど、「センスがない」が出やすくなります。
4)“直し方”が見えないとき、人は才能の話に逃げやすいです
直し方が分かると、人は落ち着きます。
- ここを揃えれば良い
- ここを削れば良い
- ここを強くすれば良い
しかし直し方が見えないと、手が止まります。
手が止まると、自分の内側を疑いたくなります。
「私の問題なのでは」と。
でも本当は、直し方が見えないのは才能ではなく、
“見る順番”がまだ整っていないだけのことが多いです。
判断の視点
ここで、判断が楽になる切り口を1つだけお渡しします。
今日の判断の軸(1つだけ)
- 「センスがない」は、才能の話ではなく“チェックの順番がない”サインです
チェックの順番があるだけで、センス不安はかなり減ります。
なぜなら、違和感を“具体”に変えられるからです。
違和感が出たとき、いきなり全体を眺めると迷います。
先に「順番」を固定すると、直し方が見えやすくなります。
例えるなら、体調が悪いときに「私の体はダメだ」と思うより、
「熱がある」「喉が痛い」「睡眠が足りない」と症状に分ける方が落ち着きます。
デザインも同じで、「センスがない」ではなく
「読めない」「主役が弱い」「詰まっている」と症状に分けると回復しやすいのです。
制作への接続
ここまで読んで、「ではどう戻せばよいのか」と感じた場合、今日は新しいスキルを増やす必要はありません。
チェックの順番を、短く固定します。
違和感が出たときのチェック順(短い4つ)
「センスがないかも」と感じたら、次の順番で見てみてください。
- いちばん大事な情報は1つに絞れていますか
- 文字は読めますか(サイズ・コントラスト)
- 余白は足りていますか(詰まっていないか)
- 揃っていますか(位置・間隔・基準線)
この4つのどれかが崩れているだけで、全体が不安に見えることがあります。
逆に、ここが整うと「センス」という言葉は出にくくなります。
よくあるズレ(やさしく修正)
センスがないからできない
→ 多くの場合、チェック視点が言語化されていないだけです。比較で落ち込むのは自分が弱い
→ 完成形と途中を比べると、誰でも揺れます。もっと学べば解決する
→ 学びより先に、見る順番を固定すると楽になることがあります。
最後に
「センスがないのかも」と思ってしまうのは、あなたの才能がないからではありません。
違和感を言葉にする順番がまだ固定されていないだけです。
では、チェックの順番を1つ置いたうえで、制作に戻りましょう。

