正解を探し続けるほど判断が遅くなる構造
正解を探し続けるほど判断が遅くなる構造

それ、自然です
「正解を探しているうちに、気づいたら時間が溶けていた」
そんな経験はありませんか。
参考を見て、事例を見て、テンプレを見て、比較して。
やっていることは真面目なのに、手が止まってしまう。
「これが正解かもしれない」
「でも、もっと良いのがあるかもしれない」
「間違えたくないので、もう少し見てから決めたい」
こう感じるのは、とても自然です。
デザインは正解が一つではないうえに、情報が多すぎる時代だからです。
ただ、ここでつらいのは、正解を探すほど安心するはずなのに、
逆に判断が遅くなり、不安が増えることです。
これはあなたの意志が弱いのではなく、
正解探しが遅くなる“構造”を持っているからです。
構造の説明
正解を探し続けるほど判断が遅くなるのには、理由があります。
それは「あなたの性格」ではなく「選び方の仕組み」に近いものです。
1)選択肢が増えるほど、判断に必要なエネルギーが増えます
正解を探す行為は、選択肢を増やす行為でもあります。
- 参考が増える
- パターンが増える
- “良さそう”が増える
- 比較対象が増える
選択肢が増えるほど、判断は難しくなります。
なぜなら、人は比較できる量に限界があるからです。
最初は「AとB」なら選べます。
しかし「A〜Z」になると、選べなくなります。
正解探しを続けるほど、選択肢は増え続けます。
その結果、判断が遅くなります。
2)正解探しは「責任回避」に見えるほど安心します
正解を探しているとき、人は一時的に安心します。
- まだ決めなくてよい
- もっと調べれば当たるかもしれない
- 決めて失敗するよりは安全
これはとても自然な防衛反応です。
決めることには責任が伴うからです。
しかし、決めない時間が増えるほど、
制作は進まず、焦りが増え、さらに正解を探したくなります。
つまり、正解探しは安心を生む一方で、
判断の練習を先送りにする構造も持っています。
3)「正解」があると思うほど、目的が薄れていきます
正解を探しているとき、視点は外に向きます。
- どれが正解か
- どれが上手いか
- どれが人気か
この視点が強くなるほど、目的が薄れていきます。
本来、デザインの判断は
- 目的に合っているか
- 相手が迷わないか
- 優先順位が崩れていないか
で決めるものです。
しかし正解探しが長いほど、判断軸が「目的」から「外の評価」に移ります。
その結果、どれも決めにくくなります。
4)「微差の比較」に入ると、永遠に終わりません
正解探しの終盤は、だいたい微差の比較になります。
- 文字を少し大きくするか
- 色を少し濃くするか
- 余白を少し広げるか
この微差は、正解が外にある前提だと決められません。
なぜなら「どっちでも良い」領域に入っているからです。
ここで必要なのは、正解ではなく「自分の基準」です。
基準がないと、微差の比較は終わりません。
基準があると、微差は切れます。
判断の視点
ここで、判断が軽くなる切り口を1つだけお渡しします。
今日の判断の軸(1つだけ)
- 正解探しをやめるのではなく、「判断の基準」を先に1つ決める
正解を探す行為そのものが悪いのではありません。
問題は、基準がないまま探し続けることです。
基準が1つあるだけで、正解探しは“探索”から“選別”に変わります。
たとえば、制作の場面で基準はこういう形で十分です。
- 目的:何のためのデザインか
- 相手:誰が見るのか
- 優先:最初に伝えることは何か
- 削る:今は捨てる情報は何か
このうち1つでも決まれば、探すべき正解は絞れます。
例えるなら、家具選びと似ています。
部屋のサイズが分からないまま家具を見ても決められません。
でも「幅120cmまで」と基準が決まれば、候補は一気に減ります。
正解探しが長いときは、だいたい“サイズ(基準)”が決まっていない状態です。
制作への接続
ここまで読んで、「ではどう戻せばよいのか」と感じた場合、今日やることは一つだけです。
正解探しを続ける前に、基準を1つだけ固定します。
迷ったときの戻り方(短い4つ)
制作中に止まったら、次の4つだけ確認してみてください。
- いまの目的は何ですか(1行)
- 見る人は誰ですか(1人)
- その人が最初に知りたいことは何ですか(1つ)
- それ以外で、今は削るなら何ですか(1つ)
このうち、どれか一つでも決まれば十分です。
基準が1つ決まると、参考は“探す”から“選別する”に変わります。
よくあるズレ(やさしく修正)
正解を見つければ早くなる
→ 正解を増やすほど、選択肢が増え、判断が遅くなることがあります。迷うのはセンスがないから
→ 迷いは基準不足で起きることが多いです。もっと調べれば安心する
→ 安心は増えますが、判断の練習は先送りになりやすいです。
最後に
正解を探し続けるほど判断が遅くなるのは、あなたの性格ではなく構造です。
基準を一つだけ置くと、正解探しは“迷い”ではなく“選別”になります。
では、基準を一つ置いたうえで、制作に戻りましょう。

