添削をもらっても次から同じ判断ができないのはなぜか
添削をもらっても次から同じ判断ができないのはなぜか

それ、自然です
添削をもらった直後は、「なるほど」と思えるのに、次の制作になると同じところで止まってしまう。
そのような経験はありませんか。
「直してもらったのに、次はまた分からなくなりました」
「言われた通りに直せたのに、自分の力になっている気がしません」
「別の課題になると、どこを見ればよいのかが分かりません」
こう感じるのは、とても自然です。
添削は“その場の正解”を教えてくれる一方で、判断の軸が自分の中に残りにくい形になりやすいからです。
添削が悪いわけではありません。
むしろ、添削は非常に効果的です。
ただ、添削を「直すための答え」として受け取るだけだと、
次に同じ判断ができる状態にはなりにくい、という構造があります。
構造の説明
添削をもらっても次から同じ判断ができない理由は、能力不足ではありません。
学習の仕組みと、判断の置き場所の問題です。
1)添削は「答え」であり、「判断の手順」ではないことが多いです
添削で返ってくるのは、たいてい「ここをこう直す」という答えです。
- 文字を大きくする
- 余白を広げる
- 色のコントラストを上げる
- 情報を減らす
- 並びを変える
どれも正しい指摘です。
ただ、次から同じ判断ができるようになるには、答えだけでは足りません。
必要なのは、
- なぜそれを直すのか(目的)
- 何を優先したのか(判断基準)
- どこを見て決めたのか(チェック視点)
- どういう順番で見たのか(判断の手順)
この“判断の手順”です。
答えだけ受け取ると、次の課題では状況が変わるため、同じ答えが使えません。
その結果、「また分からない」が起きます。
2)添削は「外の目」で成立しやすく、自分の基準が育ちにくいです
添削を受けると、判断が一時的に外に置かれます。
- 良い/悪い
- 直す/直さない
- どこを優先するか
これを外の目が決めてくれるので、進みやすくなります。
ただし、その分、自分の中の“判断の置き場所”が育ちにくい場合があります。
これは真面目な人ほど起きやすいです。
- 先生の言う通りに直す
- 合っているかを確認する
- できたかどうかを外で測る
このやり方は、短期的には成果が出ます。
一方で、次に自分で判断する場面になると、基準がなくて止まります。
3)同じ指摘でも、目的が違えば“直し方”が変わります
添削の指摘は、文脈によって意味が変わります。
たとえば「文字を大きくする」という指摘でも、
- 読ませたいのか
- 目を止めたいのか
- 迷わせないためなのか
目的が違えば、サイズだけではなく、配置や余白や色も変わるはずです。
ところが答えとして受け取ると、
- 文字を大きくする=正解
になり、別の場面でも同じことをしようとして迷います。
判断は、答えの暗記ではなく、目的に合わせた選択です。
この前提が抜けると、添削は“再現できない知識”になりやすいのです。
4)添削は「どこを見ればよいか」を省略してしまうことがあります
添削が効果的なのは、見落としを一気に見つけてくれるからです。
しかし裏を返すと、自分が“どこを見て判断するべきか”を、体験しないまま終わることがあります。
- どこを見るべきかが分からない
- だから自分では見つけられない
- だから次も止まる
これは、学習の順番の問題です。
添削が悪いのではなく、添削の受け取り方を少し変える必要があります。
判断の視点
ここで、次から同じ判断ができるようになるための切り口を1つだけお渡しします。
今日の判断の軸(1つだけ)
- 添削は「答え」ではなく「判断基準を抜き出す材料」として扱う
つまり、添削を受け取ったら、直す前にこれだけ確認します。
- この指摘は、何を守るためのものですか(可読性/優先順位/迷わせない/信頼感 など)
答えを暗記するのではなく、守るべき基準を抜き出します。
基準が抜き出せると、次の制作でも再現できます。
例えるなら、料理の味見と似ています。
「塩をひとつまみ足す」が答えだとしても、
次に同じ料理を作るときに必要なのは「なぜ塩を足したのか」です。
味が薄いからなのか、甘みを締めるためなのか。
この“理由”が分かれば、別の料理でも応用できます。
添削も同じで、「直し方」より「理由」が再現の鍵になります。
制作への接続
ここまで読んで、「では添削をどう活かせばよいのか」と感じた場合、今日からできることはシンプルです。
添削を受け取ったら、“判断のメモ”を1行だけ残します。
添削を次に活かす「1行メモ」
添削が返ってきたら、直す前に次の形で1行だけ書きます。
- この指摘は、(守る基準)を守るための修正
例)
- この指摘は、可読性を守るための修正
- この指摘は、優先順位を守るための修正
- この指摘は、迷わせないための修正
- この指摘は、信頼感を守るための修正
この1行が残るだけで、次の制作で再現しやすくなります。
迷ったときの戻り方(短い4つ)
次の制作で同じように止まったら、次の4つだけ確認してみてください。
- 目的は何ですか(告知/集客/信頼/比較 など)
- いちばん守るべき基準は何ですか(可読性/優先順位/迷わせない など)
- その基準を崩しているのはどこですか(1つ)
- それを守るために削るなら何ですか(1つ)
これで、「また分からない」が少しずつ減っていきます。
よくあるズレ(やさしく修正)
添削をもらったのに成長していない
→ 成長していないのではなく、基準の抜き出しがまだ行われていないだけです。答えを覚えれば次もできる
→ 次に必要なのは答えではなく、守る基準です。自分にはセンスがない
→ センスではなく、判断基準の言語化の問題で止まっていることが多いです。
最後に
添削を受けても次に同じ判断ができないのは、あなたの能力不足ではありません。
添削を“答え”ではなく“基準の材料”として扱うと、再現性が上がります。
では、基準を1行だけ抜き出したうえで、制作に戻りましょう。

