新規事業おじさんのつぶやき Vol.138 キャズムが生まれる理由と"キャズム超え"のための戦略
以下の記事が目に留まりました。
【キャズム理論とは】キャズムが生まれる理由と"キャズム超え"のための戦略
https://mynavi-agent.jp/dainishinsotsu/canvas/2023/03/post-927.html
キャズム理論について、本連載でも何回か触れているのですが、意外にこれを知らない方が多いということに気づかされてきました。
新規事業君、新規事業さんたちだけでなく、マネジメント層の方々にも、キャズム理論を知った上で、組織が、プロジェクトが陥りがちな罠に注意を払うようになっていただけたら、そういう方々が増えていってくれたらと思うものであります。
そんなわけで、今回は件の記事を用いて、キャズム理論のおさらいをしたいと思います。
>イノベーター理論とは、消費者を5つのグループに分け、新しい商品やサービスがどのように市場に受け入れられていくかを論じたマーケティング理論です。
--> イノベーター理論は基本ですので、5つのグループとその特徴は「知っています」という方が大半だと思います。
>キャズム=断絶が起こる理由は、初期市場とメインストリーム市場で、商品やサービスに対する観点が大きく異なっているからです。初期市場では、「それまで存在しなかった」という先進性、新奇性が大きな価値を持ちます。
>しかし、メインストリーム市場では、新しさよりも実用性が重視をされます。
求めることが異なる2つの市場が存在するため、1つの商品が2つの市場を満足させるということは簡単ではありません。
>まずは初期市場を満足させなければ何も始まらないため、多くの商品やサービスが初期市場に過剰適応してしまいがちです。
そのため、初期市場の限定的な普及で消えていく商品やサービスが多くなります。
--> このくだりについて、どのように感じられましたか。
新規事業君、新規事業さんへの戒めのような内容ですが、この戒めにたどり着く前で苦しんでいるケースは多いと思いませんか。
最初から、いきなり、メインストリームを獲得する戦略を求められて、苦しむという経験をしていませんか?
ですが、メインストリームにいきなり行くのは無理ですよね。そのことを組織として受け入れる「諦め」の境地に至って、腹をくくるまでの労力がハンパないというのが多くの現実ではないでしょうか。
では、そうして、腹をくくった後の注意点が書かれていました。
>新しい商品やサービスは、それまでになかった新奇性や先進性があるからこそ企画が成立をして開発フェーズに入ることができます。
>企画、開発段階では、イノベーターやアーリーアダプターという初期市場の消費者の声を聞くことが多く、ややもすると設計や企画そのものが初期市場に過剰適応してしまいがちです。
>キャズムに直面した時になって初めて、商品やサービスの価値が小さいことに気がつくということもあります。
>このようなことにならないように、最初の企画、開発段階からメインストリーム市場を視野に入れた設計にしておくことが重要です。
--> それができたら苦労しないよ!と叫びたくなるようなことが書かれています。ですが、やっぱり正しいのです。
苦しいけれども、常に意識して、物事を観察し、思考をめぐらせ、議論を重ね、試行錯誤を重ねることが大事なことです。
>あえてニッチな市場に特化をし、その小さな市場でキャズム超えをしておき、それから一気に大きな市場にシフトをするという戦略もあります。
>小さなニッチ市場では、消費者とのコミュニケーション密度も高くなるため、キャズム超えがしやすくなります。先に小さな市場を制して、大きな一般市場に展開をするという戦略では、キャズム超えがしやすくなります。
--> 記事では、B2Cの事例が紹介されていますが、多くのケースで有効だと思うのは「B2Bでニッチを確立した上で、B2C,B2B2Cに打って出る」というステップ戦略を取るというものです。
そんなの知っているよ!という方が多いと思いますが、実際に当事者としてやっていると、意外に忘れがちなことです。
(本稿は2023年に投稿したものの再掲です。)

