新規事業おじさんのつぶやき Vol.106 知識の分散化
ちょっと耳慣れない言葉かもしれませんが、先日、このお話をうかがった際、私たちが生きる今日の課題を端的に表していると思ったものです。
私などは、「総合電機メーカー」とかつて呼ばれた会社に34年も勤めていた人なので、自社で何もかも揃えて、抱え込んで、その総合力で競争するというパラダイムで長年生きてきた者です。
この競争パラダイムは20年近く前に消滅していたということに今だから気づけるのですが、私自身はこのことに気づくのがだいぶ遅れたと思っています。
なのですが....今日、多くの企業の動向を、そこで働く人々をウオッチしていて思うのは、今日においても、上記のパラダイムを引きづっている組織、人々が多く見られるということです。
では、どうすればよいのでしょうか。
まず、自社が得意なこと、集中すべきことを明確にする。そこでは、自社ならではの卓越した強みを築く。
それによって、分散化した知識の一つのノードとしての自社を確立する。
その上で、2つの選択肢があると私は考えます。
一つ目。
自社ならではの卓越した強みに集中して、それを提供することに特化する。
そして、もう一つ。
自社ならではの卓越した強みを活かしつつ、分散化した知識を繋ぎ合わせて、新たなソリューションを生み出していくインテグレーターになる。
これら2つはどちらが上、下という話では全くありません。
自社はどうありたいか?それを実現するために必要なものは何か?それを自社は持っているか?獲得できるか?といったことを考え合わせて、決めていくものです。
そして、決めたら、それを粘り強くやり抜くことです。なぜなら、卓越した強みなるものは長期にわたる地道な取り組みによって確立されるものだからです。それゆえ、他社が容易に模倣し、追随できないものになるのだと、私は考えます。
(本稿は2023年に投稿したものの再掲です。)