以下の記事が目に留まりました。

“イノベーションのジレンマ”を避けて企業に変革をもたらす「逆転の発想」とは

https://finance.yahoo.co.jp/news/detail/49e112709a95dd33de057abe634719c58e29da99

まずは、以下、2つのくだりから。

新規事業は多くの場合、イノベーティブであることが求められます。そこで大企業は、組織の規模やスケールメリットを生かしながらイノベーションを生み出すことが期待されるのですが、これはそう簡単なことではありません。1997年に書かれたクレイトン・クリステンセンの有名なビジネス書『イノベーションのジレンマ』にも、「単一の組織で、主力市場の競争力を保ちながら破壊的技術を的確に追求することは不可能である」「主力事業の競争力を維持したまま、同時に破壊的技術も追求しようとする。このような努力がめったに成功しないことは、過去の例が物語っている」との記述があります。

いかがでしょうか。そんなことわかってるよと思いますか。思いますよね。きっと、多くの方々は思いますよね。では、それをわが社は実行できているでしょうか。それから四半世紀がたった今でも、この状況は解決していません。わが社もこれに当てはまるという方が大多数ではないでしょうか。

と、これでは、ここで終わってしまいます。

本稿では、それでも、成功を収めた事例、その事例からの気づきを読み取ることができます。いくつか、ピックアップしてみましょう。

親会社にとってスピンインの利点は、スタートアップとしてのスピード感を得られることです。『イノベーションのジレンマ』で言われた通り、成熟事業と新規事業を同時に考えることはできません。昼間は成熟産業の大規模なスケールするビジネスを“維持・保守”するような事業運営が求められ、夜、余った時間で頭を切り替えて新しい事業を考えるなどということはできないのです。しかも、新規事業は多くの場合、既存の成熟産業を何らかのかたちで破壊し得ます。同一メンバーが両方を同時にうまくいくように考えることは不可能です。既存事業の破壊を厭わず、後の自社の事業にプラスになることを進めるために、いったん組織の外に出してスタートアップとしての方法論を使うのが、スピンインの考え方です。

スピンインなるものを実際にやってみたシスコはどうだったのか?に興味の湧いた方は本文で確かめてみてください。

自動運転技術を使ったサービスでは、テクノロジーが重要であるのと同時に、命を預け、サービスを使ってもらうために顧客との信頼関係が大切になります。クルーズには顧客中心に考えるカルチャーがあり、そうした感覚が希薄になっていたGMに、そのカルチャーをうまく注入できたのでしょう。自動運転技術への投資は、フォードも行っていました。しかし、フォードがフォルクスワーゲンと出資したアルゴAIというスタートアップは、2022年10月に事業継続を断念して閉鎖。フォードはレベル4(特定の条件下での完全自動運転)は当面目指さず、運転支援システムに注力するとしています。

自動運転技術におけるGMとフォードの明暗は、なかなか、示唆に富んでいると思います。

スイングバイとは、宇宙船が惑星などの重力を利用して加速してさらに遠くを目指す航行技術のこと。スイングバイIPOは、スタートアップの新規上場までの道のりを宇宙船の航行に例えた呼び名で、スタートアップが大企業の傘下にいったん入り、そのリソースを生かして成長を一気に加速して上場することを意味します。

スイングバイについては、日本企業の事例が紹介されています。興味の湧いた方は本文を確かめてください。

(本稿は2023年に投稿したものの再掲です。)画像のタイトルを入れてください