「SES」という言葉をご存知ですか?

「システムエンジニアリングサービス」の略です。

自社の社員や、契約社員、委託先の個人事業主などを、顧客企業に送り込んで、「月一人いくら」で契約して働かせるというものです。

派遣とは違います。似てますが。

準委任契約という、請負契約に属する契約形態に基づき、顧客と「何ヶ月、何人で幾ら」という取り決めをして、その顧客やその顧客の顧客や、はたまた顧客の顧客の顧客に、エンジニアを送り込みます。

送り込まれたエンジニアは、現場の指示者の指示に従ってはいけません。あくまで、契約で取り決められた業務を、効率や情報漏えい防止の観点から、顧客の現場で行います。

これは名目。

実際は、派遣と同じく、現場にいる指示者の指示のもと、作業を行います。これは違法です。

違法であるにも関わらず、SESビジネスは増えるばかりです。

多重請負になりますと、途中でたくさんピンハネされます。その分、エンジニアの給与は減ります。

専門職とは思えない安月給で働き、今月はあそこ、来月はあちら、という具合で、ずっとテンポラリな労働力として扱われますので、じっくりと特定の技術を深めるなどという事を要求されません。

一生SES要員として、出世することもなく、単純なプログラミングマシンとして扱われ続けます。

SESをやっている会社は、こう言います。

「いろんな会社でいろんな経験ができるから、エンジニアのスキルアップには有利」

「初心者でも現場で教えてもらえるので、働きながらスキルを身につけられる」

「職場が固定では無いので、人間関係で苦労する心配がない」

嘘です。そんな筈がありません。

プロのエンジニアとは、その技能を認める顧客やチームと、苦労を惜しまず良い人間関係作りと自己研鑽を怠らず、共に目的に貢献出来る事を目指せる者を言います。

アプリやシステムの請負仕事は苦労が絶えません。リスクも常に高く、割りに合わない事もあります。

だから、多くのIT開発会社がSESに切り替えるのでしょうが、しかし、SESはプロの仕事と言えるのでしょうか?

すみません。SESがますます広がってきているIT業界を見ると、悲しくなり、怒りがこみ上げてきてしまいます。文章が荒れてしまいました。

上記の内容は、ちょっと極端すぎる内容かもしれません。しかし、事実でもあります。

フリーランスとSES

昔からは派遣のフリーランスエンジニアというのはたくさん存在していました。

SESのような契約形態で、常駐して作業をするフリーランスも居ました。

しかし、みな、プロ中のプロでした。

私はサラリーマンの時、そんなプロのフリーランスの方に憧れていて、やがて自身もフリーランスになりました。

スキルが違います。収入が違います。

稀有な存在であり、滅多にお目にかかることはできない人たちでした。

ある方は、UNIXのプロ。まだ、「汎用機」の時代で、これからオープンなOSが普及しようという、その時に、誰よりもOSに詳しく、研究者のような立ち位置で、大手メーカーさんにアドバイスしていました。憧れでした。

自分もそうなりたい!

そう思ってフリーランスになり、ずっと、自分が見たフリーランスの像を追いかけていました。

だから、プロの仕事を求められる事が無い仕事はしませんでした。それでも仕事が途絶える事はありませんでした。

常駐の仕事はしませんでした。プロなので、管理は自分でできますし、単にプログラムができるから要因のひとりとして呼ばれるような仕事も断っていました。

傲慢で選別していたわけではありません。自分が自己研鑽の末に向上させたスキルを、最も必要とする顧客に提供し、最大限に活用したい、と思っていただけです。

SESの仕事は、ネットを当たればすぐ見つかります。

スキルシートがいい感じで埋まるほどの経験があれば、待遇も悪くは無いでしょう。

しかし、フリーランスになったのは、自分の目指す姿や、目指したい仕事のイメージがあったからでは無いですか?

SESや派遣のルートを使わなくても、仕事は自分で取れます。何も難しいことではありません。

エンジニアだから、対面が苦手という人でも問題ありません。エンジニアだから、ペラペラ喋る必要などないのです。

今の私の夢は、プロのフリーランスだけでチームを作り、最高の仕事をする事です。

しかし、残念ながら、プロと認められるフリーランスが新たに見つかるという事が皆無となっています。

ならば、そうなってもらうしか無いと思い、メンターの登録をしました。

もう、個人の時代です。企業の単位でなんでも語られる時代は終わりです。

だからフリーランスが最も活躍し、ハッピーになれる時代なのです。しかし、現実は真逆に向かっています。本当にもったいない事です。