CVRが1.5〜2%増加、検討層の購入率施策のビフォーアフター分析
CVRが1.5〜2%増加、検討層の購入率施策のビフォーアフター分析

前回の学校法人CVR140%増加の前後分析に続き、他社のWeb成果事例から、前後分析をして、一般サイトに転用できるアイデアをまとめました。
今回は2社まとめて取り上げます。
- 旅行予約サイトの「エアトリ」
→予約導線のUI/UX改善、国内航空券の粗利益が前年同期比で111%、取扱高が109%に - 美容家電D2Cの「ホリスティックキュアーズ」
→商品閲覧画面からのCVRが導入前後で1.5〜2%増加
業種も商材も違いますが、2026年9月に公開された導入事例を読み比べると、やっていることの芯は同じでした。
「購入・予約を決めかけている人が、途中で立ち止まる場所を減らす」
片方は予約導線の途中に判断材料を差し込み、もう片方はカート画面そのものを飛ばしています。どちらも「迷っている人を説得する」施策ではなく、「決めている人を最短で完了させる」施策です。この共通点を軸に、それぞれのBefore/Afterを整理します。
自己紹介
こんにちは、Web365の野田です。 普段、Web365というフリーのWeb担当として、クライアント企業への Webから売上増を目標に、企業データ分析、Webサイト分析改善 (分析・制作・マーケティング)をワンストップでサポートしております。
2つの事例の概要(最短で完了させる施策)
エアトリ × Onboarding(ノーコードUI改善ツール)
- 企業:国内航空券・ホテル・新幹線を扱う総合旅行プラットフォーム
- 施策:ノーコードUI改善ツール「Onboarding」を国内航空券・航空券+ホテルの予約画面から導入(現在は海外航空券・新幹線にも拡大)
- 成果:施策の実行スピードが社内開発比で約4倍/CVR改善が利益に直接寄与し、ROIは約3倍
- IRの裏付け:2026年9月期2Q決算説明会資料(2026年6月)で、予約導線のUI/UX改善により国内航空券の粗利益111%・取扱高109%(前年同期比)と説明
- 出典:STANDS社プレスリリース(2026年9月)
ホリスティックキュアーズ × Amazon Pay「Buy Now」
- 企業:コスモホールディングス傘下。ドライヤー等の美容家電を美容室ルートと公式ECで販売
- 施策:Amazon Payの「Buy Now(今すぐ購入)」を商品ページに設置
- Amazon Pay=決済サービス全体。Amazonアカウントの住所・カード情報を他社ECで使える
- Buy Now=その中の1機能。カート画面を経由せず商品ページから決済へ直行するボタン
- 成果:1万円前後の商品で、商品閲覧画面からのCVRが導入前後で1.5〜2%向上/サイト全体のCVRもベースアップ
- 利用状況:決済全体の約3割がAmazon Pay、うち約半数がBuy Now経由
- 副次効果:この決済経由では大きな不正利用が発生していない
- 出典:ネットショップ担当者フォーラム インタビュー記事(2026年9月・アマゾンジャパン提供の企画広告)
UI視点のBefore/After
今回の2社は、サイト全体のリニューアルではなく「特定の画面に要素を足した/画面を1枚減らした」というタイプの改善です。エアトリの施策はポップアップや条件表示が中心で過去アーカイブに残りにくいため、いずれも公表された施策内容をもとに、施策単位で前後を整理しています。
エアトリ:予約導線の途中に「判断材料」を差し込む
起点になった施策は、クーポン適用時に割引の差額を画面上に表示するというもの。プレスリリースでは、価格情報の表示最適化がCVR改善と利益寄与の中心として挙げられています。

小結論: ユーザーが自分で計算・照合・比較していた作業を、画面側が先回りして引き受ける設計に変わっています。4つ目の「2レーン制」はUIの変化ではありませんが、前の3つが実行される確率を上げた土台なので、あえて表に入れました。
ホリスティックキュアーズ:カート画面を飛ばして、決済まで最短で届ける
起点になった施策は、商品詳細ページの「カートに入れる」ボタンの下に「Buy Now」ボタンを並置したことです。

小結論: 「画面数を減らす」「入力を減らす」「決断に必要な情報を前倒しする」の3点セットです。注目したいのは、直行導線を通常のカート導線と置き換えたのではなく並置していること。配送日指定など、カートを経由しないと選べない条件が残るため、両方の入口を残しています。
コンテンツ視点のBefore/After
今回の2社は、コピーやビジュアルの刷新ではなく「誰に向けた導線か」の前提が変わっている点がコンテンツ視点の変化です。

変化の本質: どちらも「まだ迷っている人を説得する」方向ではなく、「もう決めている人を止めない」方向に振り切っています。ホリスティックキュアーズの中道氏は、初めてのサイトに個人情報を入力することへの抵抗をAmazon Payが取り除く点を挙げていますが、これは説得ではなく障害物の除去です。
転用可能な5つの型

2社の施策を、他社でもそのまま使える型に分解すると5つになります。順番は「決めている人を止めない」ための打ち手として、実装が軽い順に並べています。各型がどちらの事例から来ているかも添えました。
① 判断材料を導線の途中に置く(エアトリ/ホリスティックキュアーズ)


差額・比較結果・配送日など、ユーザーが自分で計算したり別画面で確認したりしていた情報を、決断する画面に前倒しして見せる。
エアトリの割引差額表示とAI比較パネル、ホリスティックキュアーズの最短お届け日表示は、見た目は違ってもすべてこの型です。
まず疑うべきは「ユーザーに暗算・照合をさせている箇所」で、そこに答えを置くだけで導線は短くなります。
② 画面を1枚減らす(ホリスティックキュアーズ)

購入意思が固まった人向けに、カートや確認画面を飛ばす直行ボタンを用意する。ポイントは通常導線と並置すること。配送日指定のように直行導線では扱えない条件が残る限り、既存の入口は消さず、「急ぎの人」と「条件を選びたい人」に入口を分けます。
③ 入力を「確認」に置き換える(ホリスティックキュアーズ)

登録済み情報を呼び出し、フォームを「打つ」から「確認する」に変える。入力欄が減るだけでなく、初訪問サイトに個人情報を預ける心理的抵抗も同時に下がります。ホリスティックキュアーズでは、不正利用の減少と出荷前チェック負荷の軽減という事業者側のメリットも付いてきました。
④ 離脱の瞬間に1回だけ引き留める(エアトリ)

フォームまで到達した人は購入意欲が最も高い層です。無言で離脱させず、「まだ完了していない」ことを伝えるポップアップを1つ置く。1回だけが条件で、しつこく出すと逆効果になります。ノーコードで実装しておくと、文言や表示条件の調整を開発を待たずに繰り返せます。
⑤ 実験用のレーンを分ける(エアトリ)

効果が読めない施策は、社内開発のキューに並べずノーコードで小さく試し、当たったものだけ本実装する。UIではなく運用の型ですが、転用の型①〜④が「実行される確率」を上げるのはこの仕組みです。
まとめ
2社の事例を並べて見えてくるのは、CVR改善の打ち手には
①「迷っている人を説得する」方向と
②「決めている人を止めない」方向の
2つがあり、後者の方が施策の粒が小さく、数値も出やすいということです。
今後も参考事例を解説した記事を作成してきます。お気軽にフォローください。
参照した情報源
- PR TIMES:株式会社STANDS「エアトリがUI/UX改善ツール『Onboarding』を導入。ROI約3倍、施策実行スピード約4倍の成果を創出」(2026年9月10日)
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000044.000048037.html - Onboarding 導入事例ページ(2026年8月公開)
https://onboarding.co.jp/case/20260804 - 株式会社エアトリ 2026年9月期 第2四半期 決算説明会資料(2026年6月5日)
- ネットショップ担当者フォーラム「CVR改善と不正利用対策を両立。美容家電の公式ECに学ぶ『Amazon Pay』導入の実際」(2026年9月10日・Sponsored by アマゾンジャパン合同会社)
https://netshop.impress.co.jp/e/2026/09/10/16577 - ホリスティックキュアーズ 公式ECサイト
https://holisticcures.shop/
※ 本記事の数値はいずれも上記の公表資料にもとづきます。ホリスティックキュアーズの数値は同社の自社調査(2026年7月時点)によるものです。画面の変化は公表された施策内容をもとに言葉で整理したもので、実際の画面キャプチャは転載していません。

